外貨準備における米ドルのシェアが25年ぶりの低水準に

 IMF(国際通貨基金)が先月31日に発表したデータによると、2020年第4四半期の外貨準備に占めるドルの比率は59%と、前四半期の60.5%から低下し、1995年以降で最低を記録した。外貨準備に占めるドルの割合が低下するのは3四半期連続で、25年ぶりの低水準となる。2014年以降、ドルのシェアは66%から59%へと、年平均1%ポイントずつ、トータルで7%ポイント低下している。このまま低下が進むとすれば、今後10年間でドルのシェアは50%を下回ることになる。

世界の外貨準備における米ドルのシェアの推移

出所:WOLFSTREET

 日本を除く各国中央銀行はゆっくりではあるものの保有資産を分散させる動きを着実に進めている。ユーロのシェアは19.5%から20.6%の間のレンジで推移していたが、第4四半期にはそのレンジを抜け出し、データ上で最も高い21.4%まで上昇した。

 一方、中国の人民元はドルのヘゲモニー(確固たる優位性、支配権)を脅かす存在になっているかといえば、外貨準備に占める元のシェアはまだ2.25%に過ぎない。しかし、人民元のシェアは少しずつではあるが上昇している。この2年間での勢い(2年間で0.36ポイント増)で増えていくと想定すると、人民元のシェアが25%になるには、あと50年ほどかかると思われる。

米ドルのヘゲモニー(確固たる優位性)は低下し続けている

出所:WOLFSTREET

 米国は基軸通貨であるドルの「法外的特権」を振りかざし、コロナ対策と称して莫大(ばくだい)な財政赤字を積み上げ、米国企業が中国やメキシコなどのコストの安い地域に生産拠点を移すことで貿易赤字を拡大してきた。しかし、こうした野放図な政策が続けられるかどうかは、日本や中国を始めとする他の国々が大量のドル建て債券を今後も保有する意思があるかどうかに大きく依存している。