割安株のリベンジが「TOPIXの相対的堅調」をけん引

 NT倍率の急落は、景気敏感株を中心とするバリュー株(割安株)が多いTOPIXの相対的優勢を象徴する動きとも言えました。「修正単純平均株価指数」である日経平均のTOPIX(時価総額加重平均指数)に対する倍率を示すNT倍率は、過去最高の15.66倍(2月26日)から14.7倍に低下しました(3月25日)。

 図表2は、日経平均のウエイト上位15銘柄の業種名、来期予想PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)、1カ月前比騰落率を示した一覧。下段の図表3では、TOPIXのウエイト上位15銘柄の業種名、来期予想PER、PBR、1カ月前比騰落率を示しました。

 最近1カ月における「バリュー株(割安株)人気」と「グロース株(成長株)不人気」がわかります。インデックス(株価指数)に連動した運用を行う大口投資家の資金シフト(物色変化)に影響を受けた可能性があります。

 日経平均のウエイト上位銘柄で株価が相対的に軟調となった銘柄としてはファーストリテイリング、ソフトバンクグループ、東京エレクトロン、ファナック、アドバンテスト、エムスリーなど、予想PERやPBRが高い値がさ成長株です。

 一方、TOPIXの上位銘柄で株価が相対的に堅調である銘柄はトヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、武田薬品、日本電信電話、三井住友フィナンシャルグループ、KDDIなど予想PERやPBRが低めとなっている「割安株」であることがわかります。

 バリュー株のリベンジ(持ち直し)がNT倍率を押し下げたとも言えます。

<図表2:日経平均の上位銘柄と1カ月前比騰落率>

*日経平均の指数構成ウエイト上位15銘柄のみを表示
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年3月25日)

<図表3:TOPIXの上位銘柄と1カ月前比騰落率>

*TOPIXの指数構成ウエイト上位15銘柄のみを表示
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年3月25日)