「バーナンキ・ショック」の再来を警戒する株式市場

 リスク要因もあります。米国市場で長期金利(10年国債利回り)が上昇ピッチを強めれば、グロース株のみならず株式市場全体が短期的にせよ再び調整に追い込まれる可能性に要注意です。

 市場が警戒する記憶(市場実績)が約8年前の「バーナンキ・ショック」(Bernanke Shock)です。

 2013年5月22日、当時のFRBを率いていたバーナンキ議長が議会証言で、(景気後退から脱した米国経済の回復基調に鑑みて)「今後幾度かの会合を経て、債券購入のペースを徐々に減速することでQE(量的緩和)を縮小する可能性を検討する」と発言し市場を驚かせました。

 これを受け、翌23日に日経平均は1,143円下落しました。当時の日経平均は1万5,000円台でしたので、現水準に換算すると1日で2,000円以上急落した体感です。

 流動性(金融)相場に支えられてきた相場のショックは「テーパー・タントラム」(Taper Tantrum=QE縮小に向けたかんしゃく)とも呼ばれ、当時の長期金利上昇は先進国株式のみならず新興国市場からの資金流出を加速させました。

 今年の市場は、「パウエル・ショック」に直面することを警戒して変動する場面が多くなりそうです。「織り込んでいなかった突然の材料には過剰反応しがち」とされる市場の特性には注意を要します。