景気敏感株への選好と需給の思惑が一巡すれば、TOPIXの値動きは落ち着く

 日経平均もTOPIXも日本を代表する株価指数ですが、両指数には算出方法や構成銘柄数など、かなりの違いがあります。細かく説明すると紙面が足りなくなるため割愛しますが、例えば、構成銘柄のウエイト配分(どの銘柄がどのくらい指数に影響を与えそうか)が挙げられます。

■(図3)日経平均とTOPIXのウエイト上位30銘柄

出所:取引所データを元に筆者作成 日経平均は2月末時点・TOPIXは1月末時点

 上の図3は、日経平均とTOPIXそれぞれの指数でウエイトが高い上位30銘柄の一覧です。

 こうして眺めてみると、日経平均でのウエイト1位で13%を占めるファーストリテイリングが売られたのもうなずけます。ちなみに、同社のTOPIXでのウエイトは上位30位内に入らず、46位(約0.5%)とかなり低下します。

 ソフトバンクGなど、青色で塗られているものは、日経平均・TOPIXの両方で上位30銘柄に入っている銘柄です。日経平均からTOPIXへのシフトでウエイトが落ち、単純に比較できるものではありませんが、それぞれの上位で重複しているため、今回の日銀の決定の影響は比較的少ないと見ることができそうです。

 キーエンスや任天堂など、TOPIXで黄色に塗られているものは、日経平均に採用されていない銘柄で、白色のものについては、日経平均採用銘柄で上位30銘柄には入らないが、TOPIXでは上位に入る銘柄です。今後もTOPIX優位の展開が続く場合には、TOPIXの黄色と白色の銘柄の動向をチェックする必要がありそうです。

 また、日銀が日経平均型ETFを購入しなくなり、日経平均に対する弱気な見方が強まるのではと感じてしまうかもしれません。確かに、値動きが荒っぽくなる可能性は高まりますが、逆を言えば中途半端な買い支えがなくなって、「(きちんと?)株価が下落したところを拾える」など、投資家としては売買機会が増えるというメリットもありそうですし、そして、TOPIXのウエイト上位で白色の銘柄には、メガバンクや商社、武田薬品やNTT、ホンダ、日立などが該当しますが、どちらかというと成長期待で積極的に買われてきた銘柄ではないこともあり、足元の景気敏感株への選好と需給的な思惑が一巡すれば、TOPIXの値動きは落ち着いてくると思われます。