「ガチホ投資戦略」は米国株式の長期時間分散投資

 米国株式は長期で世界株式をリードしてきましたが、その過程では大規模、中規模、小規模の下落を幾度も経験してきました。市場参加者が弱気になりがちな調整場面でも「投資を継続した」あるいは「投資額を積み増してきた」投資家が勝者となれた実績もわかります。

 図表4は、1989年1月から米国株式(S&P500指数)に3万円ずつ定時定額投資(時間分散投資=積立投資)を実施してきた場合の総収益を検証したものです。ドルコスト平均効果(株価が下落すると購入口数が増加する効果)と複利運用効果(雪だるま効果)で「累計投資口数」が増加し続けてきた点に注目です。

 S&P500指数が最高値を更新した2020年12月末時点で時価ベースの資産は約6,856万円となり、累計投資額(1,152万円=3万円×384回)の約5倍に膨らみました。30年超の期間中に低迷する局面はありましたが、株式市場の堅調回帰に沿い時価資産(累計投資口数×株価)が増えてきた実績が時間分散投資の効果です。

 2019年の「2,000万円問題」(長期運用を巡る意識の向上)を受け、積立投資を実践する若い世代の投資家が増えています。

 そこで、若い世代にもわかりやすい(!?)表現を引用して「ガチホ投資戦略」と呼びたいと思います。「ガチで米国株式に積立投資を続ける(ホールドする)戦略」という意味です。

 10年、20年、30年と投資の時間軸が長いほど有利とされるのが米国市場の実績です(図表3)。これからも一時の株価下落や波乱相場は想定の範囲内です。新年も資産形成のコア(中核)として米国株式の長期投資と向き合いたいと思います。

<図表4:米国株式の長期積立実績を検証>

*上記は市場実績にもとづく参考情報で将来の投資成果を保証するものではありません。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1989年1月~2020年12月)

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