米国株のパフォーマンスは、日本株より圧倒的に優秀

「投機」と「投資」は本質的に異なると考えています。「投機」とは「機会に乗じて短期間で利益(利ざや)を得ようとする行為」を総称します。短期売買で「勝ち続ける」のは専門家でさえ困難です。一般の個人投資家が仕事や家庭を犠牲にして行うべき取引か疑問です。

 一方、「投資」とは「長期的な視野で資金をビジネスに投じる行為」。企業が発行する有価証券の一種である株式に資金を投じ「企業価値の増加」を期待する行為のことです。企業価値の増加とは、事業を続ける結果として生み出される利益や配当の増加や株価の値上がりを総称します。一般の投資家に求められる投資は「長期の視野に立った着実な資産形成」と考えています。

 図表3は、米国株式と世界株式の長期リターン(配当込み総収益)を日本株式と比較したものです。米国株式は幾度もの調整を乗り越えて日本株式をオーバーパフォームしてきました。

 円換算の総収益で比較した場合、1989年初を起点にすると米国株式は約19.84倍に成長し、日本株式(同期間に約1.14倍)を圧倒してきました(2020年末時点)。リスク(リターンのブレ)に応じて優れたリターンを投資家にもたらしてきた米国株式の市場実績に注目したいと思います。

<図表3:米国株式は世界株式の堅調をリードしてきた>

*上記は株式市場指数の総収益推移をドルベースと円ベースで比較したものです。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1989年初~2020年末)