中国市場の「ニューエコノミー株」に分散投資するETF

 ポスト・トランプを視野に入れるなら、中国の「ニューエコノミー関連株」に分散投資する米国籍ETF(上場投資信託)に注目したいと思います。

 ファンド名は「ウィズダムツリー中国株ニューエコノミーファンド」(CXSE)です。同ETFが投資している対象は、国有企業を除く中国企業(民営企業)で、ファンド内の個別銘柄の最大ウェイトは10%、運用経費率(年率)は0.32%となっています。

 図表3で示すとおり、同ファンドの取引価格の年初来上昇率は+42.3%と好調です。今春以降に鮮明となっている中国の景気回復とニューエコノミー関連企業の収益拡大を期待するパフォーマンス堅調が同ETF価格の相対的な好調に寄与しています。

<図表3>中国株ニューエコノミーファンドは年初来4割超の上昇

出所:Bloombergをもとに楽天証券経済研究所作成(2019/10/1~2020/10/28)

 図表3は、同ETFの発行済み口数も増加傾向をたどっていることを示しています。

 一般的に、機関投資家など大口マネーがETFへの投資を増加させる際は、取引価格(売買価格)に過度の影響を与えない目的で、指定業者(マーケットメーカー:証券会社)を通じて運用会社にETF受益証券を新たに発行させることが多く「発行口数」は増加します。

 中国経済や中国株式に成長期待がある反面、非効率な国有企業(オールドエコノミー)を避けたい投資ニーズは根強いと考えられます。

 なお、上記ファンド(CXSE)の組入上位銘柄としては、テンセント・ホールディングス(騰訊控股)、アリババ・グループ、中国平安保険、美團點評、JDドットコム、網易、バイドゥ(百度)など香港、米国、中国本土に上場される大手主力IT系企業が挙げられます。

 ファンドの運用時価総額は約3.977億ドル(約415億円)となっています。同ETFに資金を投じることで、比較的簡便に「中国ニューエコノミー関連株への分散投資」を資産運用(ポートフォリオ)に加えることが可能となります。(参考情報:米国籍ETFの売買は米国株式の売買と同様です)。

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