29日のECB理事会で波乱か?

 もう一つ、波乱材料になる可能性があるのは、29日のECB理事会です。29日には前日から開催されている日銀の金融政策委員会と黒田総裁の記者会見が予定されていますが、日銀は政策変更もなく、菅新政権の下でも協力してこれまで同様の政策を維持するという確認に終始することが予想され、目新しい材料にはなりにくいと思われます。

 それよりも29日のECB理事会や直後のラガルドECB総裁の記者会見は波乱材料になりそうな雰囲気が既に漂っています。ユーロ圏は物価のマイナスが続いているため、物価下落の背景のひとつであるユーロ高について警戒感を更に強める可能性があるかもしれません。また、欧州では新型コロナの感染拡大の勢いが増しているため、各国が外出規制強化に動き出してきており、経済活動制限による景気減速懸念から追加金融緩和の期待が高まっています。

 今回のECBは、政策変更をしないとの見方が大勢ですが、次回以降の政策の選択肢を広げるためにマイナス金利の深掘りを含めたメッセージを発する可能性が予想されます。

 もし、ユーロ高けん制や追加金融緩和をにおわすメッセージが発せられれば、これらはユーロ売り材料となり、ユーロ/円も円高に反応することが予想されます。その場合、ユーロ安はドル高ですが、ドル/円はユーロ/円の円高に引っ張られることが予想されるため、ドル/円の一段安(円高)も視野に入れておいたほうがよいかもしれません。

 29~30日の波乱材料で相場が動き、月末(30日)、月初(11月2日)の需給要因で相場が動いた後は、11月3日の米大統領選挙の結果を見るまでは、全く相場が動かないことが予想されます。マーケットの流動性も乏しくなり、プライスも悪くなり、思わぬプライスアクションになることも予想されます。ポジションを調整するのであれば、早めに準備をしておいた方がよいかもしれません。