「レッド・ミラージュ」とフライングに注意!

 4年前は、クリントン氏優勢で選挙が始まりました。選挙日の翌日である11月9日(水)の東京市場では(米国では選挙日の夜)、当初、クリントン氏優勢の報道で1ドル=105円台半ばまでドル高となりましたが、接戦州でトランプ氏優勢と伝わるとドル安となり、101円台前半まで円高となりました。予想外のトランプ勝利は円高で反応しましたが、その後は財政出動や大型減税の政策を好感し、金利高、ドル高となり、その日のNY市場では1ドル=105円台後半まで上昇しました。その後もこの流れが続き、11月は1ドル=114円台まで上昇しました。

 4年前の相場展開は、参考にはなりますが同じようなシナリオになるとは限りません。4年前は予想外のトランプ勝利でしたが、日付が変わる頃には勝敗が決していました。しかし、2020年は郵便投票が多いため、開票に時間がかかり長引きそうです。そのことを揶揄(やゆ)するかのように「レッド・ミラージュ」というシナリオがささやかれています。そのシナリオとは、当初トランプ氏が優勢となるが、郵便投票の開票が進むにつれて民主党が優勢となっていき、共和党優勢は蜃気楼(しんきろう)だったというシナリオです。「レッド」は共和党のイメージカラー、「ミラージュ」は「蜃気楼」を意味します。

 しかし、それでもトランプ米大統領が敗北宣言をしない限り、バイデン氏が勝利することはできません。敗北宣言どころか、トランプ大統領は蜃気楼の段階で勝利宣言をするかもしれません。

 バイデン氏が圧勝しない限り、法廷闘争にもつれ込むといわれていますが、トランプ大統領は既に法廷闘争の準備を進めているという話は聞こえてきており、バイデン氏が圧勝しても法廷闘争は起こるかもしれません。

 今回は郵便投票が多いため、数日や1週間程度長引くのは理解できますが、法廷闘争によって11月中も決まらないとなると投資家は長期間動けず、フラストレーションがたまる一方です。しかし、フライングで動くわけにもいきません。

 こちらがフライングしなくても、候補者がフライングして勝利宣言することは起こり得るシナリオです。フライングによって相場はかく乱されることも予想されるため、いつも以上に慎重に相場に臨む必要がありそうです。

 オハイオ州を制する者が全米を制すると言われているオハイオ州では、トランプ大統領の支持率が逆転し、バイデン氏を上回りました。まだまだ勝敗は分かりませんが、フライングだけには気をつけたいと思います。