東証1部上場銘柄で「本年度の時価総額増加トップ銘柄」は?

 本稿では、「コロナ禍が拭えない本年度(2020年4月以降)の日本市場で相対的評価が高まった銘柄群」に注目したいと思います。

 具体的には、TOPIX(東証1部上場企業)と東証マザーズ指数の構成銘柄で時価総額を増やしてきた企業を「トップ銘柄」と呼びます。

 まずは、TOPIXの構成銘柄(約2,196銘柄)をベースに、本年度(2020年4月以降)に時価総額を増やしてきた銘柄を「時価総額増加額順」に記載します。

 株式市場における「時価総額(株価×発行済株式数)」は、事業(ビジネス)の成長性、収益性、社会への貢献度を集約する企業価値を反映するとされます。

 増資や株式分割で発行済株式数が増加しない限り、株価の好調・不調が時価総額の増減を左右します。時価総額の変化(増減)は、企業に対する投資家の評価・期待の変化を示します。

 図表2に示す「時価総額増加ランキング15社」は「本年度に投資家からの評価や期待が高まった(改善した)銘柄群」と言えるでしょう。

<図表2>TOPIX銘柄の時価総額増加ランキング(上位15社)

*上記はTOPIX構成銘柄を母体に「本年度の時価総額増加額(降順)」を示した一覧です。
*ウエイト=TOPIX全体の時価総額に対する個別銘柄の時価総額の比率
(出所)Bloombergをもとに楽天証券経済研究所作成(2020年10月14日時点)

 図表2の上段が示すとおり、本年度にTOPIXの時価総額は約92.8兆円増加しました(約536.9兆円→約629.6兆円)。同じ期間に、ランキング1位のSBG(ソフトバンクグループ)は時価総額が約7.1兆円(約7.9兆円→約15.0兆円)増加。増加率は約9割でした。

 SBGの時価総額は、国内上場企業でトヨタ自動車(約22.7兆円)に次ぐ評価を受けています。その他、2位のキーエンス(時価総額は+3.8兆円)、3位のエムスリー(同+2.8兆円)、4位の日本電産(同+2.7兆円)と「日経平均に採用されていない注目企業」が続いています。

 こうした「本年度に時価総額が増加している企業群」の共通点として、コロナ禍でも優れたビジネスモデルや商品・サービスの競争力で、業績の改善・成長が見込まれている企業群が多いことが挙げられます。

 デジタル化の進展やDX(デジタル・トランスフォーメーション)の普及が進むなか、国内市場でも「第4次産業革命」を映す物色が進んでいると言えそうです。図表2は「時価総額の増額面でみた本年度のトップ銘柄群」として注目したいと思います。