不動産は安定収益源

 安田倉庫は、倉庫跡地などに建設した賃貸ビルでも、安定収益を得ています。同社が有価証券報告書で開示している時価情報によると、2020年3月末時点で、同社が保有する賃貸不動産には、235億円の含み益があります。戦前から保有する簿価の低い土地に、付加価値の高い賃貸ビルを持っていることから、大きな含み益となっているわけです。

 安田倉庫の株式時価総額は、10月14日時点で279億円です。PBR(株価純資産倍率)で0.39倍の低評価となっている同社に、時価総額に近い金額の含み益があるというのは、特筆に値します。同社のビジネスモデルが理解されず、古い倉庫会社のイメージのまま、株価が低評価に留まっていると考えられます。

 不動産は安定収益原で、成長性はありません。気になるのは、最近、コロナ禍の影響で、リモートワークが広がり、都心のオフィス需給がゆるみつつあることです。ただ、安田倉庫が保有する賃貸ビルは都心からは離れているので、その影響をあまり受けていないと考えられます。

 リモートワークの広がりから、都心のオフィスに解約の動きが出る一方、郊外や地方の物件には一部、分散オフィスとしての契約を探す動きが出ています。安田倉庫が保有する賃貸ビルについては、都心部を離れているため、2019年までのブームの恩恵はあまり及びませんでしたが、今年の需給悪化の影響も相対的に小さいと考えられます。

今期は減益でも、中長期に最高益を更新していく力があると判断

 このように、中長期的に有望と考えている安田倉庫ですが、今期(2021年3月期)はコロナ禍で減益です。会社が予想する今期営業利益は、前年比28%減の25億円です。家電など個人消費関連の物流は堅調ですが、産業用貨物の物流にマイナス影響が出ています。

 それでも、私は、コロナ禍が去った後、再び最高益を更新していく力があると考えています。コロナ禍で株価が下がっている今が買い場と判断しています。