NTT株の投資判断:高配当利回り株として「買い」

 9月29日のNTT株は、前日比65.5円(2.9%)安の2,230.5円【注】となりました。

【注】65.5円(2.9%)安の内訳
29日は配当の権利落ちが50円ありましたので、実質的な値下がりは、15.5円(0.6%)でした。29日は、9月中間配当の権利落ち日で、中間配当金は1株当たり50円(会社予想)です。

 NTT株は、29日終値ベースで予想配当利回り4.5%(1株当たり年間配当金・会社予想100円を、29日の終値2,230.5円で割って算出)と、配当利回りが魅力的です。

 私は、高配当利回り株として、長期投資していく価値が高いと判断しています。

 ドコモにTOBと報道が出た29日の前場、NTT株は一時5.8%安まで売り込まれました。2つの懸念から、売られたと考えられます。

【懸念1】巨額の買収資金を調達するために、NTTが公募増資をする懸念
【懸念2】巨額の買収がNTTの財務・業績に重荷になる懸念

 懸念1は、おそらく杞憂と思われます。NTTが、買収資金の4.2兆円は負債(銀行からの借入)で調達すると発表しているからです。

 将来、借入返済のために公募増資をする可能性がないとは言えませんが、その可能性は低いと思います。

 懸念2についても、問題ないと私は判断しています。巨額買収のためのコスト負担で、短期的には利益が圧迫されます。ただし、長期的には、ドコモを完全子会社にしたメリットはNTTにとって大きいと考えています。

 ドコモまで含め、NTTグループが一体経営されることにより、NTT株は、これから本格化する第4次産業革命での、メジャープレーヤーの1つになると考えています。

 もともと、NTTは、旧電電公社を、分割・民営化して誕生した会社です。NTTがあまりに強大な存在だったため、競争を促進するために、分割された経緯があります。

 分割後も、NTTがドコモを優遇し、競争を制限することがないか、常に監視の目が光っていました。その後、分割は十分な効果を発揮し、ドコモが優遇されることはありませんでした。

 公正な競争が確保される中で、NTTがドコモを完全子会社化し、結びつきを強化することは、NTTにとってメリットが大きいと考えています。

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