税金のことを知らずに手続きを進めてしまうと…

 一つ注意していただきたいのが、相続人以外の人に遺産を渡すこと自体は、手続きさえ踏んでいればできてしまうということです。

 今回のケースであれば、相談者が多額の資金を用意して譲渡してもらう(売ってもらう)か、いったん相続登記を行って、母もしくは叔母の名義にした後、相談者に贈与する登記を行えば、土地は孫のものになります。

 しかし、それにより、母もしくは叔母から、相談者へ土地の贈与が行われたという事実が発生します。すると、当然ながら孫に贈与税の申告および納付義務が生じます。 

 もし、相続人以外の人にも被相続人の遺産を税金なしで渡すことができると勘違いしていると、後々多額の贈与税が発生し、大変なことになってしまいます。

 仮にその土地の評価額が5,000万円だとした場合、いったん叔母が相続し、叔母から贈与を受けた形であれば孫は2,289万5,000円もの贈与税を払わなければならないのです。

 または譲渡してもらう(売ってもらう)場合であっても、買うための多額の資金が必要になります。

 土地の価格が高い都心部では、実質的に孫がこの土地を手に入れるのは、かなりハードルが高いといえるでしょう。

 税金は「知らなかった」では済まされません。土地の名義を移すなど、「これって税金はどうなるのかなあ?」と疑問に思う場合は、実行する前に必ず税理士や税務署などに相談するようにしてください。