超低金利と膨れ上がる中銀資産には大変な副作用がある

 マーク・ファーバーは、「超低金利と膨れ上がる中銀資産には大変な副作用がある。政府に際限なくおカネを使わせてしまうことだ。これこそ正にMMT(現代貨幣理論)派の要求していることのように見える」と述べている。このままいけば、FRBがある時点で、株式、住宅用不動産、商業用不動産、すべての国債、社債、農地などを含むすべての米国資産をマネタイゼーションする可能性がある。もう二度と戻れないQEインフィニティ(無限大量的緩和)政策で、いずれ米連銀は、にっちもさっちもいかなくなり、破綻する可能性がある。

MMT(現代貨幣理論)
ある条件下(低インフレ下)で政府は国債をいくらでも発行して良いという考え方を指します。これは政府債務の拡大(借金を増やすこと)を歓迎する新しい経済理論であり、昨今では経済学者の間で議論や批判の対象になっている。

FRBの総資産推移(2014~2020年)

出所:「マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート」(パンローリング)

FRBがある時点で、すべての米国資産をマネタイゼーションする可能性がある

出所:「マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート」(パンローリング)

 一方で、QEやMMTは続けていてもなんの問題も起こらないというのが、MMTを支持する人たちの主張である。ゼロ金利で国債を大量発行しても政府の負担はないし、国の信用は失墜しない。長期金利上昇はYCC(イールドカーブ・コントロール)、ゴールドの上昇は、中央銀行がゴールドの先物売りをやることで、通貨の信認は維持できる。特に米ドルは基軸通貨であり、その代替通貨がないので安全であると…。

 QEインフィニティ政策によって、不景気の株高が展開されている。「輪転機を永続的に回していれば、株も不動産も永久に上がるし、景気後退は二度と起こらない」などという楽観論が多くなってきた。