ウォーレン・バフェットは金融危機のどん底で買収したゴールドマン・サックスの株式の大部分を売却した

 筆者の予測通り、ウォーレン・バフェットは現金ポジションをさらに積み上げている。バフェットは金融危機のどん底で買い取ったゴールドマン・サックスの株式の大部分を売却した。15兆円近くの過去最大の現金ポジションを抱えているが、5月2日の年次株主総会でバフェットは、「私が最悪の可能性を見ているとしたら、現金ポジションはそれほど大きくない」と述べている。

 以下は、「When Warren Buffett Sours on Goldman Sachs, Time to Worry」ウォーレン・バフェットがゴールドマン・サックスを嫌った…心配する時だ(2020年5月15日 ヤフーファイナンス)という記事の抜粋である。バフェットは巷で言われているような米国株式市場の応援団長ではなく、紛れもないプロの投資家である。

 一部の米国の州が再開し、ウイルスに苦しむ経済を修復しようとする一方、ウォーレン・バフェットが物事は長い間、正常とは程遠いだろうと警告を発した。

 バークシャー・ハサウェイが第1四半期の投資に関して規制当局に提出した書類によると、この危機は米国の永遠の楽観主義者に打撃を与え、その結果、彼は航空業界から完全に逃げ出し、今では特定の自動車株や銀行株からも逃げ出したことが分かる。これには、バークシャーが保有していたゴールドマン・サックス・グループの84%を手放したこと、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニーの保有株の3%を削減したことが含まれていた。バフェット氏(89)は2週間前、「何も米国を止めることはできない」と誇らしげに語ったが、彼の発言を信じることができなくなっている。

 バフェットは、2週間前に行われたバークシャーの総会の最中に航空会社に対して方向転換をしたことを発表したが、ゴールドマンからの退出は最新の大きな驚きだった。その投資銀行の株価は終盤の取引で2%下落し、今年に入って25%以上値下がりしている。時折、いくつかの大きなバークシャー投資の決定は、バフェットの代理人、トッド・コームズとテッド・ウェシュラーによって行われる。しかし、航空会社の売りはバフェットの決定であり、ゴールドマン株の売却も彼の指示なしには起こらないと考えるのは当然のことだろう。もちろん、第1四半期中のいつ売却したのかは正確にはわからないが、いずれにせよそれは彼らがレッドフラッグを揚げていることを意味する。

 銀行という意味ではバークシャー自体は、増え続ける現金の山の上に座っている銀行のように見える。その軍資金は3月の時点で1370億ドルに達し、史上初との大きさだがバフェットはそれを費やすことを望んでいない。「私が最悪の可能性を見ているとしたら、現金ポジションはそれほど大きくない」と、億万長者は5月2日の会議中に彼の仮想リスナーに話した。確かに、世界で最も有名な投資家の一人として彼は最近あまり投資していない。

 バフェットは、金融市場を浮揚させるFRBの並外れた行動は、2008年の金融危機の間に獲得したゴールドマンの株式のように、彼がいつものおいしい取引をしなかった理由の一部であると説明した。投資家はまた、まだ最悪のものを見ていないかもしれない。バフェットの行動は、彼がさらなる痛みがあるだろうと考えていることを明確に示唆している。もし彼が買いの機会を見たら、彼は買うだろう。FRBは金曜日、金融安定性報告書の中で、この公衆衛生危機が悪化すれば、資産価格は「脆弱で大幅な下落の可能性もある」と警告した。

 バフェットの今後数ヶ月間の見通しが非常に暗いとしても、持ち続けるのが心地よいと思っている長期的な持ち株がいくつかある:バークシャーが大株主のアップル社、アメリカン・エキスプレス社、バンク・オブ・アメリカ社、コカコーラ社、ウェルズ・ファーゴ・アンド・カンパニーについては変わっていない。しかし、前四半期が終了してから6週間で多くのことが起こったので、この後何が起こるか誰もわからない。

 バフェットは常に米国の最大の応援者かもしれないが、彼はその前に投資家であり、そのように見える。彼はまた、自分で認めるように投資家にすぎず、今後どうなるかを言うことができるのは保険当局だけである。

バフェット指標とバリューゾーン
※株が投資するに値する価値を生むのは、下のバフェット指標の黄色の帯のゾーン、70~50のレベルまで下落した時である。

出所:マーケットウォッチ