なぜ商社株は割安に据え置かれるか?

 コロナ・ショックの元でも、安定的にキャッシュフローを獲得する力のあることを示した大手商社ですが、株式市場での評価は高いとは言えません。PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などの株価指標で見て、いつもきわめて割安な水準にとどまっているからです。

 投資家に人気がないから、株価指標で割安に据え置かれていると言えます。なぜ、大手総合商社が人気がないのか考えてみましょう。

資源事業の比率が高いことが業績を不安定にする

 大手総合商社の利益に占める、資源事業の比率が高いことが、商社株の人気が低い原因の1つと思います。技術革新によって資源の供給が世界的に拡大した影響で、原油・石炭・天然ガスなどのエネルギー資源は、構造的に供給過剰となっています。

 世界景気が急激に悪化したため、足元、資源価格は大きく下落しました。資源ビジネスで高い利益を上げていても、株式市場で高く評価されないのは、資源事業は、収益が不安定だと考えられているからです。

世界景気や、世界中の地政学リスクの影響を受けやすい

 総合商社が新興国で積極的にビジネス展開していることは、コロナ・ショックで世界経済が分断されるようになった今、業績に逆風です。商社が、世界景気の影響を受けやすい体質であることが、株価評価が高まらない要因となっています。