5大商社の決算まとめ

 今回発表された今期予想も含め、過去6期の純利益推移を以下にまとめました。

5大商社の連結純利益:2015年3月期実績~2021年3月期(会社予想)

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成

 三井物産は2012年3月期(連結税前利益は2019年3月期が最高益)に、他の4社は2019年3月期に最高益を更新しました。コロナ・ショックに見舞われた2020年3月期、丸紅を除き、純利益は引き続き高水準でした。伊藤忠は最高益を小幅に更新しました。三菱商事と三井物産は小幅の減益に留まりました。丸紅のみ大幅な赤字に転落しました。

 2020年3月期決算と比較されるのは、2016年3月期です。今と同じように原油など資源価格が急落し、大手総合商社は資源権益などで軒並み巨額の減損を計上した時です。三菱商事と三井物産はこの時、大幅な赤字に転落しました。

 2016年3月期と比べると、2020年3月期は、丸紅以外は、資源が急落した割には堅調な決算だったと言えます。各社とも、資源への依存を低下させるための構造改革(非資源事業の強化)の成果が出たと言えます。丸紅は、食糧事業で減損(ガビロン社)を出すなど、非資源事業でつまづいたことが、赤字転落の原因となりました。

 2021年3月期について、三菱商事と住友商事は業績予想の開示を見送りました。ただし、先行きに、必ずしも悲観的ではありません。それが、配当の予想に表れています。両社とも、配当の予想は開示しています。

5大商社の1株当たり配当金:2015年3月期実績~2021年3月期(会社予想)

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成

 増配を発表した三菱商事と伊藤忠、配当据え置きの三井物産は、コロナ・ショックでも、安定的にキャッシュフローを稼ぐ力があることを、示しました。

 これだけのショックが起こっても、配当金を維持していく力をつけたことは、ポジティブです。