危機相場の反動相場

 北朝鮮情勢やハリケーン被害を警戒してディフェンシブになっていたマーケットは、それらの警戒が和らいだことで、株式市場が買い戻しや逆張りの買いなどを集め、落ち着きを取り戻した格好となっている。

 株式市場は、「年内の税制改革法案成立にムニューシン財務長官が意欲的だ」との観測報道で減税を先取りした買いが入っているが、現実には財源がない。オバマケアの撤廃と国境税で作る予定だった財源がまったくないのが現状であり、リップサービス的なものであることがはっきりしてくると、市場は反動安に見舞われるだろう。

NYダウCFD(日足)

中段の緑色の丸で囲んだ部分がトレンドの発生ポイント(ADX(8)、ADX(14)、標準偏差ボラティリティ(26)の3本のライン(ADX14と標準偏差26の2本でも可)がいっしょに上がっている局面) 上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ・パラボリックS&R 中段:標準偏差(26)・ADX2LINES(8・14) 下段:新値3本足のシグナル (出所:MT4)
 

日経平均CFD(日足)

中段の緑色の丸で囲んだ部分がトレンドの発生ポイント(ADX(8)、ADX(14)、標準偏差ボラティリティ(26)の3本のライン(ADX14と標準偏差26の2本でも可)がいっしょに上がっている局面) 上段:ボリンジャーバンド(21)±0.6シグマ・パラボリックS&R 中段:標準偏差(26)・ADX2LINES(8・14) 下段:新値3本足のシグナル (出所:MT4)

 危機のバロメーター的な動きをしていたゴールドの上昇も、日足ベースでみるといったん買いトレンドは終了した格好となっている。ゴールドの相場は短期的に買われ過ぎになっていたので、現在は調整相場となっているが、マーケットが懸念している問題は根本的には何も解決しておらず、調整後は切り返してくる可能性があるだろう。

ゴールド(日足) 

中段の緑色の丸で囲んだ部分がトレンドの発生ポイント(ADX(8)、ADX(14)、標準偏差ボラティリティ(26)の3本のライン(ADX14と標準偏差26の2本でも可)がいっしょに上がっている局面) 上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ・パラボリックS&R 中段:標準偏差(26)・ADX2LINES(8・14) 下段:新値3本足のシグナル (出所:MT4)
 

ゴールド(日足)

相場がATRバンドの網目のなかにある時、ADX(8)とSTD(26)の両方がピークアウトすると、相場が反転する可能性が高い 上段:ATRチャネル 下段:8日ADXsmoothed(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青) (出所:MT4)

 ドル/円は米国金利の低下と北朝鮮情勢から107円30銭まで売られたが、買戻し相場となり、日足ベースの直近の売りトレンドは消滅している。ATRチャネルなどのリターン・リバーサル(逆張り)指標をみると、いつものチャネルの下限付近まで相場をやったものの、そこで相場が終わった格好となっている。

ドル/円(日足) 

中段の緑色の丸で囲んだ部分がトレンドの発生ポイント(ADX(8)、ADX(14)、標準偏差ボラティリティ(26)の3本のライン(ADX14と標準偏差26の2本でも可)がいっしょに上がっている局面) 上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ・パラボリックS&R 中段:標準偏差(26)・ADX2LINES(8・14) 下段:新値3本足のシグナル (出所:MT4)

ドル/円(日足)

相場がATRバンドの網目のなかにある時、ADX(8)とSTD(26)の両方がピークアウトすると、相場が反転する可能性が高い 上段:ATRチャネル 下段:8日ADXsmoothed(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青) (出所:MT4)

 投機筋の注目を集めているのはポンド相場で、本日の英国中央銀行の MPC(金融政策委員会)で、チーフエコノミストのホールデン委員が利上げに賛成票を投じるか否かに注目が集まっている。

ポンド/円(日足) 

中段の緑色の丸で囲んだ部分がトレンドの発生ポイント(ADX(8)、ADX(14)、標準偏差ボラティリティ(26)の3本のライン(ADX14と標準偏差26の2本でも可)がいっしょに上がっている局面) 上段:ボリンジャーバンド(21)±1シグマ・パラボリックS&R 中段:標準偏差(26)・ADX2LINES(8・14) 下段:新値3本足のシグナル (出所:MT4) 

ポンド/円(日足)

相場がATRバンドの網目のなかにあるとき、ADX(8)とSTD(26)の両方がピークアウトすると、相場が反転する可能性が高い 上段:ATRチャネル 下段:8日ADXsmoothed(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青) (出所:MT4)

 筆者はこの先、目先的にはドル高、ドル安のいずれの相場が展開されてもおかしくないと考えており、上のATRチャネルのチャートに見られるような大幅な乱高下相場が継続されても不思議ではない。

ラリー・ウィリアムズの円相場見通し

 円高見通しを語ってきたラリー・ウィリアムズは、9月9日時点で円買いポジションの利食いのポイントが接近しており、短期的には円売りポジションの構築を推奨していた。円相場のシーズナルサイクルは円安を示唆しているようだ。

CME 日本円通貨先物=円/ドル(日足)とラリー・ウィリアムズの円相場予測

*日本円通貨先物のチャートは1円あたり何ドルなのか表示されています。 (出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2017年9月11日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。著作権のため、チャートおよび文章の一部を隠しています。)

いずれにしても、今後の為替市場の動向を決めるのは米国の金利動向だろう。投機筋は9月20日(日本時間21日午前3時)のイエレン氏率いるFOMC(連邦市場公開委員会)の姿勢に注目している。


米10年国債金利(週足)

上段:14週修正平均ADX(赤)・26週標準偏差ボラティリティ(青) 下段:21週ボリンジャーバンド±1シグマ(緑) (出所:石原順)