なぜサウジにとって「ビジョン2030」が必要なのか?

「ビジョン2030」の3つの柱のメインは「繁栄する経済」と見られますが、サウジはなぜ経済を繁栄させる必要があるのでしょうか。

 一つは、経済を立てなおす必要があるためです。以下は、サウジの財政収支(対GDP比)です。

図:サウジの財政収支(対GDP比)

出所:IMFのデータより筆者作成

 サウジの財政収支は2014年ごろから急激に悪化しました。2014年後半から原油価格が急落したためです。実際に、サウジの歳入(財政収支は歳入-歳出で計算される)の半分以上は石油関連とみられます。

図:サウジの歳入における石油分野と非石油分野の割合

 

 この財政収支の悪化が、「ビジョン2030」の提唱の大きな要因になったとみられます。財政収支を改善するために、改革が必要、ということです。できるだけ石油に依存しない体制を作ることが必要で、そのために文化に変化を持たせて過去にとらわれない国創りを目指していると思われます。