国地方係争処理委員会の審査結果はどう読めばいい?

 国地方係争処理委員会は9月3日付で勧告を出しましたが、さすが学者さんが書いただけあってなかなか難解な内容になっています。

 国地方係争処理委員会の審査結果を分かりやすく要約すると以下のとおりとなります。

 泉佐野市が主張した1つ目の点、すなわち総務大臣の行為は地方自治法247条違反ではないかということについて、委員会は「外形的には技術的助言に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いがなされたものと評価される余地が生じ」と判断しました。

 地方自治法247条違反と断定まではしませんでしたが、違反と評価される余地が生じているよと判断したのです。
 したがって、委員会の勧告はこの限度で泉佐野市の主張を認めたものと評価できます。

 泉佐野市が主張した2つ目の点、すなわち総務大臣の定めた適正募集基準が法律の委任の範囲を超えるものとして認められないのではないかということについて、委員会は「法律の委任する募集適正実施基準の範囲を超えるおそれがある」と判断しました。

 したがって、委員会の勧告は2つ目の点でも一定限度で泉佐野市の主張を認めたものと評価できます。

 上記のとおり国地方係争処理委員会の審査結果は泉佐野市の主張に沿うものでしたが、この勧告を受けた総務大臣の判断は変わりませんでした。
 国地方係争処理委員会は「本決定の趣旨に従い、再度の検討を行う」ことを勧告したのですが、総務大臣は、再度検討したが泉佐野市をやはり不指定としたのです。

 泉佐野市としてはこの総務大臣の決定を不服と考え、今後は東京高等裁判所に訴訟提起。この件は裁判所の判断が下されることになります。 

 仮に裁判で泉佐野市の請求が認められると、ふるさと納税の対象団体に不指定とした総務大臣の処分が取消されますので、泉佐野市はふるさと納税の対象団体となることができます。

 しかしながら、改正地方税法は、返礼品を3割以下とすることや地場産品以外を提供しないとされているため、泉佐野市もそのルールに従わなければなりません。

今後のふるさと納税

 今後は、アマゾンギフトカードなどの換金性の高いものは返礼品から外されてしまうので、ふるさと納税をお得に利用するためにはお米などの生活必需品を狙うのがよいと考えます。

 返礼品の選び方のコツは、株主優待と同じ。優待でも自分で使いやすいものを選ぶこと。私は優待でもお米や食事券を狙うことが多いので、今後のふるさと納税でも同じ路線でいこうと今探しているところです。