泉佐野市の言い分

(1)地方自治法247条違反か?

 今回、泉佐野市は30ページ以上にもなる審査申出書をはじめとして、合計5通もの書面を提出。いろいろな角度から総務大臣による不指定が違法ないし不当であると主張しました。

 泉佐野市の主張を分かりやすく整理すると、おおむね以下の主張になります。

総務大臣の不指定が地方自治法247条に違反するのではないか

 地方自治法は地方自治について定めた法律です。法律ですから総務大臣もこれに従う必要があります。

 地方自治法247条3項は「国又は都道府県の職員は普通地方公共団体が国の行政機関又は都道府県の機関が行った助言等に従わなかったことを理由として不利益な取り扱いをしてはならない」と規定しています。

 この点、総務大臣は平成30年4月までに全国の自治体あてにふるさと納税の返礼品について3割以下とすることや地場産品とすることを求めた通知を何回か出していました。ただし、この通知は法的拘束力のあるものではなく、技術的な助言に過ぎなかったのです。

 時系列で見ると地方税法が改正され新制度が適用される今年6月1日以前は、この総務大臣による法的拘束力のない技術的助言しかなく、6月1日以降に初めて法的拘束力のある規制が敷かれたという流れになります。

 そうすると総務大臣の不指定は泉佐野市が法的拘束力のない技術的助言に違反したことを理由になされたものといえ、上記地方自治法の規定に違反するのではないかということです。

(2)法律の委任の範囲を超えた基準となっている?

 次に泉佐野市が主張しているのは、改正後の地方税法が総務大臣に対し「ふるさと納税の募集の適正な実施に係る基準(適正募集基準)」を定めることを委任している(任せている)ところ、総務大臣が定めたこの基準が過度に広範な規制となっており、委任の範囲を超えるものとして認められないのではないかということです。

 すなわち、総務大臣はこの基準の中で平成30年11月から新制度申請までの間に、過度な返礼品を用いて著しく多額の寄付金を受領した団体は除外するとしています。これに対して泉佐野市は新制度の申請に際して、今後は、返礼品を一切提供しないと申し出ていました。それにもかかわらず総務大臣は泉佐野市が過去において過度な返礼品を用いて多額の寄付金を集めていたことから、この過去の実績を重視して、泉佐野市を指定から除外したのです。

 泉佐野市が主張したのは「この総務大臣の対応は、要は過去の時点での実績を基準として判断しており、改正後の法を過去に遡って適用するのと結果的に同じではないか」ということです。分かりやすく例えると過去に前科前歴がある人が、もう絶対に罪を犯しませんと誓っているのにもかかわらず、過去にやったからまた今後もやるだろうという推定で将来に向かって一切信じてあげないイメージです。

 泉佐野市としては、この過去の実績まで含めて評価する適正募集基準が改正後の地方税法が総務大臣に委任した範囲を逸脱し厳しくやり過ぎだと主張したのです。