米国市場は「大統領弾劾審議」の可能性を消化できるか

 米中貿易対立の長期化、イランに対する米国の強硬姿勢、ワシントン情勢(米政治動向)の行方を巡る不安が市場のリスク選好度を低下させ、日米株式の上値を抑える要因となっています。特に今週は、米下院議会をリードする民主党が「トランプ大統領の弾劾発議に向け調査を開始する」と表明(24日)し、目先の米国株とドルの重石となりそうです。

 図表1は、米国の経済政策不確実性指数、米ダウ平均、日米株価の過去1年推移を重ねて示したものです。「経済政策不確実性指数」は、米国の新聞やメディアの記事上で使われた(経済政策を巡る)「不確実性」や「不透明感」の使用頻度を指数化したものです。

 9月に入りいったん落ち着いていた政策不確実性指数が今週は急反発しました。貿易政策や経済政策を巡る不確実性は、鈍化傾向にある製造業の景況感や設備投資見通しを一段と悪化させる可能性があり、やがてそれが雇用情勢や消費活動に影響を与えることが不安視されています。

 逆に、事態が改善して不確実性指数が低下すれば、ダウ平均や日経平均が再び上値を試す動きに転じることも期待されます。

 一方、来年の大統領選挙に向けては、民主党大統領候補としてエリザベス・ウォーレン上院議員の公認確率が一段と上昇しています。「米国史上初の女性大統領誕生」への期待はトランプ大統領の「脅威」となりそうです。

図表1:経済政策不確実性の急上昇は日米株価の上値を抑える

*米国経済政策不確実性指数=U.S. Economic Policy Uncertainty Index (Baker, Bloom & Davis)
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2018年10月1日~2019年9月25日)