株価変動を乗り越え日米株式は「年末高」に向かう?

 今週は、トランプ大統領の「任期途中での退任」の可能性が浮上しました。米下院の議席数で過半を占める民主党のナンシー・ペロシ下院議長が、大統領弾劾(罷免要求)に向けた調査開始を正式に表明したからです。

 トランプ大統領が米国憲法に違反し、民主党の大統領候補者の一人であるジョー・バイデン元副大統領に打撃を与えるためウクライナに「調査と支援を求めた」と主張しています。

 民主党指導部は従来、「弾劾手続き」が来年の大統領選に向け民主党に不利に働くことを懸念していましたが、ウクライナ問題で大統領弾劾を求める声が党内で急速に高まったことが背景です。10月に予定されている米中閣僚級貿易交渉、英国のEU(欧州連合)離脱(予定)と合わせ、事態の行方次第では相場の波乱要因となるリスクがあり警戒を要します。

図表2:過去20年のアノマリー(季節性)は「年末高」を予想

*年初を100とした相対推移
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(1999年1月1日~2018年12月31日)

 下院議会の議席数のうち半数以上が賛成すれば「弾劾発議」は可能ですが、「弾劾決議(罷免)」は共和党が過半を握る上院議会の3分の2以上の賛成が必要で、実際上困難です。

 ただ、脱税疑惑やロシア疑惑など多くのスキャンダルを抱えるトランプ大統領が、外国政府を利用して自らの野望(大統領再選)を実現するため手段を選ばなかったとすれば、来年の大統領選挙に向けトランプ大統領には不利となります。とはいえ、こうしたリスクが目先の不安要因となっても、日米株価が年末に向け戻りを試していく可能性もあります。

 上の図表2は、米ダウ平均と日経平均の過去20年にわたる平均推移を示したものです。ファンド筋による決算対策(節税対策)売買の影響が色濃いとされる「アノマリー(季節性)」で、9月から10月に底入れして「年末高」に向かった平均的傾向に注目したいと思います。