優待を楽しみながら長期投資するのに適格と考える6社:すかいらーくHD・日本マクドナルドHD・本田技研工業・東海カーボン・キューピー・キリンHD

【1】    すかいらーくHD
 外食業界の生き残りで、優待を楽しみながら長期投資するのに適格と考えています。同社は、株主に魅力的な利益還元を行っています。100株保有(投資額は19万7,900円。9月25日終値で投資した場合)すると、配当金は年間1,900円、株主優待「食事カード」を年間6,000円がもらえる予定です。

 合計で年間7,900円の経済価値が得られます。すかいらーくの優待食事カードは、カフェレストラン「ガスト」、中華レストラン「バーミヤン」のほか、「ジョナサン」「夢庵」「藍屋」「ステーキガスト」「グラッチェガーデンズ」「魚屋路」「とんから亭」など、幅広い店舗で利用できます。「500円単位」で、食事代金から割引されます。優待カードからお釣りは出ませんが、500円単位で使えるので、使いやすいといえます。ただし、株主優待内容は、予告なく変更されることもあるので、注意が必要です。

 業績動向も見ている必要があります。同社は、2016年12月期に営業最高益312億円を計上した後、3期連続減益で、今期(2019年12月期)営業利益は、220億円まで減る見込みです。人件費の上昇や、店舗運営の合理化・省力化のためのシステム投資のコストが、減益要因です。同社は、優待内容を2017年12月期から3倍に増加させていますが、優待コストの増加も減益要因となっています。

 ただし、売上は堅調です。魅力ある業態やメニュー作りに成功しているため、毎期、売上高は1%くらい増加して過去最高を更新しています。私は、来期(2020年12月)以降、消費税の引き上げを乗り越え、業績は回復に向かうと予想しています。

【2】日本マクドナルドHD
  構造改革に成功して業績好調が続く日本マクドナルドは、来期(2020年12月期)にも営業最高益を更新する可能性があると考えています。詳しくは、以下のレポートを参照してください。

3月13日:日本マクドナルド、過去最高の営業利益が視野に。「未来型店舗」で何が変わる?

【3】本田技研工業
 配当利回り3.9%(9月25日時点)と高く、優待よりも配当の方が魅力的と考えます。本田は長期投資で買い場と考えています。ただ、今、自動車株に投資するのは、リスクが高いことを理解しておく必要があります。短期的には貿易戦争に巻き込まれるリスク、長期的にはEV(電気自動車)化が進むリスクが意識されます。EV化は既存のガソリン車メーカーにとって重大なリスクです。

 今、自動車関連株に投資するならば、トヨタ自動車(7203)、本田技研工業(7267)、ブリヂストン(5108)などに絞ったほうが良いと考えています。

【4】東海カーボン
 東海カーボンは、前期(2018年12月期)まで業績急拡大が続き、営業最高益を更新していました。今期(2019年12月期)は中国景気悪化による黒鉛電極の市況低下で、業績に急ブレーキがかかっていますが、それでも会社予想ベースで小幅に営業最高益を更新する見込みです。

 業績急拡大に株価上昇が追いつかず、予想PERは9月25日時点で、4.6倍まで低下しています。今後、業績が急激に悪化しない限り、割安株として見直されて株価が上昇する余地が大きいと考えています。

 前期まで、業績拡大を牽引してきたのは、黒鉛電極です。鉄スクラップを溶かして鉄鋼製品を生産する電炉【注】に必須の中心的素材です。

【注】電炉と高炉
鉄鋼を生産する方式に、電炉法と高炉法がある。電炉では、電気で鉄スクラップを溶融して鉄鋼を生産する。高炉では、鉄鉱石と石炭から、鉄鋼を生産する。

 中国が、国策として、高炉にかたよった製鉄方式を見直して電炉拡大を打ち出したため、黒鉛電極に大量の注文が集中し、2017年後半から2018年にかけて需給逼迫が続きました。深刻な品不足が続く中、価格上昇と数量増の両面から、東海カーボンの業績拡大につながりました。

 中国は、環境規制を強化し、大気汚染の原因となっている高炉から、電炉への切り替えを急いでいます。足元、中国景気の悪化、鉄鋼需要の鈍化の影響から、黒鉛電極の市況が低下してきていますが、ここからさらに中国景気の悪化が加速しない限り、市況は下げ止まると考えています。そうなれば、来期(2020年12月期)以降、業績や株価の回復が見込めます。

 ただし、同社への投資には、リスクも伴います。中国景気の悪化が長期化すると、業績が一段と悪化する可能性もあります。これからも、株価の乱高下が続くと想定されます。

【5】キユーピー
  今期(2019年11月期)、小幅ながら6期連続で経常最高益を更新する見込みです。中国や東南アジアでドレッシングなど調味料の売り上げが拡大しています。国内では、サラダや惣菜などの売り上げが伸びてきました。高い成長は見込めないものの、これからも最高益を更新していくことが期待されます。

【6】キリンHD
 今期(2019年12月期)の営業利益(会社予想)は前期比▲51.6%の960億円と見た目が悪いが、オセアニアの飲料事業減損など一時的要因によるものです。今期業績の実態は悪くありません。会社が開示している連結事業利益(一時的損益を除く経常的な業績)で見ると、上半期(2019年1-6月期)は、前年同期比+5.0%と好調で、通期では前期比▲4.7%の1,900億円を見込んでいます。

 国内の酒類・飲料事業は成長が見込めなくなってきていますが、医薬品事業(協和キリン)やミャンマーでのビール事業には成長余地があります。今後は、医と食をつなぐ分野での成長を目指します。そのために、上場企業であるファンケルへ33%の出資を決めました。完全子会社とした協和発酵バイオと、資本提携したファンケルの力を使って、健康分野のビジネス拡大を目指します。