米国市場の主力銘柄から選ぶ「高配当利回り・増配期待銘柄」

 世界の資本市場をリードする米国株式市場のパフォーマンスは、長期でも中期でも日本株式を凌いできた市場実績が知られています。ファンダメンタルズ(景気・企業業績)や成長見通しを比較すれば、同様の優劣が繰り返される可能性は高いと考えています。特に、米国市場が一時不安視した「景気後退入り」を避ける(成長率がソフトランディングする)なら、足元の低金利効果と業績の持続的な拡大が米国株式を下支えていく可能性があります。

 今週FOMCで明らかとなったFRBの最新経済予測によると、実質GDP成長率で2019年が+2.1%~+2.3%、2020年で+1.8%~+2.1%、2021年が+1.8%~+2.0%と見込まれています。こうした米国市場で時価総額が大きい主力銘柄の中から、「予想配当利回り」が比較的高く、「増配期待」が根強い銘柄を、米国の「高配当利回り・増配期待銘柄」と呼び注目したいと思います。銘柄選別の母集団(ユニバース)としては、S&P100指数(S&P500指数構成銘柄のうち時価総額上位100社)を使用します。

 図表3では、(1)S&P100指数を構成する銘柄のなかで、(2)来期(主に2020年12月期)も再来期(主に2021年12月期)も増配が見込まれる銘柄群(配当予想は市場予想平均)で、(3)今期(主に2019年12月期)の予想DPS(1株当り配当額)をもとに試算した「予想配当利回り」の降順に選んだ10銘柄を示しました。

 配当利回りの水準と増配見通しを重視し、「減配リスクを織り込んだ高配当利回り銘柄」を除外するようにしました。例えば、フォード・モーター(F)の今期予想配当利回りは6.5%と高いですが、再来期が減配予想となっており、「高配当利回り・増配期待銘柄」からは除外しました。

 図表3に示した10銘柄の予想平均配当利回りは約5.9%となっており、10銘柄に分散投資できる総額では約590ドル(約6万4,000円)で足ります。米国の政治動向、貿易摩擦の影響、中東の地政学リスク、BREXIT(英国の合意なきEU離脱)など当面も不透明要因は排除できませんが、米国株投資でもインカム(配当利回り)を重視したバリュー投資に注目したいと思います。

図表3:米国株式の高配当利回り・増配期待銘柄は?

*上記はS&P100指数(S&P500指数構成銘柄の時価総額上位100社)をユニバース(銘柄母集団)にしました。
*来期配当予想と再来期配当予想が「増配見通し」の銘柄群のうち「予想配当利回り上位10社」を示したものです。
*「今期」は主に2019年12月期、「来期」は主に2020年12月期、「再来期」は主に2021年12月期を示します。
*今期、来期、再来期のDPS(1株当り配当額)は市場予想平均(Bloomberg集計)を示しています。
*DPSの市場予想平均は、業績見通し次第で上下に修正される可能性があります。
*上記は銘柄推奨を目的としたものではありません。
(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2019/9/18)

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