「米国史上初の女性大統領誕生」の可能性は?

 トランプ米大統領は18日、FOMCの結果について「パウエル(議長)とFRBはまた失敗した。根性も分別も先見性もない! ひどい伝達者だ!」(Jay Powell and the Federal Reserve Fail Again. No “guts,” no sense, no vision! A terrible communicator!)とツイッターで罵りました。発展途上国の独裁者ならともかく、世界経済をリードする米国大統領の発信とは思えない独善的な発言と言えるでしょう。

 図表2は、民間調査会社が試算している「2020年大統領選挙」に関する生起確率(Implied Probability)を示したものです。共和党候補(現職大統領)の当選確率は、民主党候補に対して劣後を鮮明にしています。

 また、民主党の主要候補者のなかではエリザベス・ウォーレン上院議員の指名確率がジョー・バイデン前副大統領を抜いて第1位に躍り出ました。来春予定されている民主党予備選(カリフォルニア州など)で優勢を確実にすれば、「米国史上初の女性大統領誕生」が視野に入ってきます。こうしたなか、トランプ大統領の動揺が市場に影響を与える可能性がありそうです。

図表2:トランプ大統領は民主党ウォーレン上院議員の台頭を警戒?

(出所)PredictIt(Prediction Market)、Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2009/5/1~2019/9/17)

 ウォーレン候補が民主党内で中道寄りのバイデン候補とタッグを組み、「史上初の女性副大統領候補」を目指しても、アンチトランプを象徴するダイバーシティ(多様性)を打ち出す民主党に訴求力はありそうです。ウォーレン候補が唱える富裕層資産課税などによる格差是正案や国民皆保険制度の提案が注目されており、支持率も上昇傾向です。トランプ大統領がこうした情勢に危機感を抱き、製造業従事者や農畜産業者を中核とする支持基盤を固めるため、貿易交渉を激化させることとなれば、株式市場が再び波乱含みとなるリスクはあります。

 再選を目指すトランプ大統領が「外交政策でディール(貿易交渉の進展と成果)重視」に転じたとの期待もありますが、10月の米中貿易交渉や対イラン外交で焦り(強硬姿勢)をみせると、景況感悪化や株価下落を誘発する可能性があります。秋相場については、あらためて「トランプ・リスク」と向き合う場面もありそうです。