米中貿易摩擦はデタント(緊張緩和)に向かう?

 9月初のショートカバー(空売りや先物売りの買い戻し)を発端に、日経平均は8日続伸を記録。TOPIXは7月高値を上回る水準まで戻しました(12日)。米ダウ平均は6日続伸となり、7月15日に付けた史上最高値(2万7,359ドル)まで約222ドルに迫りました。米国市場のリスクオフ(回避)姿勢が和らぎ米債券金利が反発。ドル/円も108円前後に反発しました。

 こうした背景に、米中貿易戦争が「デタント(緊張緩和)」に向かう兆しをみせていることが挙げられます。デタントとは「雪解け」を意味するフランス語(Détente)で、東西冷戦(1960年代の米ソ対立)時代における「関係悪化回避」を期待させます。

 10月初に米中閣僚級協議が設定され、中国が対米報復関税の対象商品から一部を除外。トランプ大統領は10月1日に予定していた対中関税率引き上げを10月15日に延期しました。中国は米農産物輸入再開を「協議前の善意の印」として検討中と報道されています。

 こうしたなか、同大統領は「外交面で最もタカ派」と呼ばれるボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)を更迭しました。図表1は米ダウ平均とトランプ大統領の支持率を示したものです。株価が反発しても、大統領の支持率は低下したままです。来年の再選を目指し、中国やイランとの対立激化よりも「ディール(交渉による成果)」重視に転じた可能性もあり注目したいと思います。

図表1:トランプ大統領に焦りも?株価反発でも支持率は回復せず

*大統領支持率はReal Clear PoliticsのTrump Job Approval Poll(世論調査平均) 出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2018/4/1-2019/9/11)