国内株式は配当利回りスプレッドで「割安圏」にある
8月は、米中貿易摩擦、中国の景気鈍化、BREXIT(英国のEU離脱)を巡る警戒感が市場や投資家のリスク許容度を押し下げました。日米欧の中央銀行高官やIMF(国際通貨基金)は、「設備投資の減退(景気の鈍化)リスク」を警戒し、一段の金融緩和や金融緩和継続を「次の一手」とする姿勢を示しています。
こうしたなか、ドイツや日本の長期金利はマイナス圏で一段と低下。国内市場ではTOPIX(東証株価指数)ベースの「配当利回りスプレッド」(予想配当利回り-10年国債利回り)が、2016年当時の水準を上抜け、「過去10年で最高水準」に達しました。
つまり、債券利回りと比較した株式配当利回りの水準は、「債券と比較して株式がかつてないほど割安感を強めている」ことを示しています(図表2)。
図表2:日本株式の配当利回りスプレッドは「歴史的な割安圏」を示唆
具体的にはTOPIXの配当利回りスプレッドは9月2日に2.92%(=配当利回り:2.65%-長期債金利:-0.27%)に上昇して、株式が「債券と比較した割安感」を強くしました。
一方、図表3で見る通り、TOPIXベースの予想DPS(1株当り配当額)は増加基調を維持。TOPIXの12カ月累計DPS(39.08)から、今期(主に2020年3月期)のDPSは39.81、来期(主に2021年3月期)は42.10と総じて増配が見込まれています(Bloomberg集計による市場予想平均)。
外部環境と市場心理の悪化で株価は8月に下落しましたが、米国株高と為替の反転円安を契機にして、9月の内外市場はバリュエーションの見直しを追い風にした「デタント相場」と言えそうです。