フロンティア株式に分散投資できるツールを知る

 上述した各フロンティア市場や個別銘柄に投資するには、カントリーリスク、流動性リスク、個別銘柄リスク、投資コスト(費用)の面で難点があると言われています。そこで、こうした市場に幅広く分散投資し、比較的少額からフロンティア市場全体の成長期待を取り込めるツールとしてETF(上場投資信託)や追加型公募投信などのファンドに注目したいと思います。図表4は、フロンティア市場に連動を目指す米国籍ETF(ティッカー:FM)や追加型公募投信の参考例を一覧にしたものです。

 過去1年のフロンティア株式連動型ETFのパフォーマンスをみると、日本株式(TOPIX)より優勢で、米国株式(S&P500指数)と比較してもリスク(価格変動)調整後リターンが確りした経緯みてとれます。トランプリスクやチャイナリスクで揺れる世界株式下落にお付き合いを余儀なくされた場面もありますが、今年に入ってのFRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和姿勢や長期金利の低下は、一般的に発展途上国(新興国)市場にはプラス要因と考えられています。

 追加型公募投信では「HSBCニューフロンティア株式オープン」が(楽天証券では)販売手数料ゼロで購入できます。これらフロンティア市場に分散投資するETFの取引価格(米ドル)や公募投信の基準価額の年初来騰落率は国内株式の市場平均(TOPIXや日経平均)を上回っています。総人口が減少傾向で生産労働人口も減少し続ける日本(総務省調査)に投資するだけではなく、長期グローバル分散投資の一翼としてフロンティア市場に資金の一部を振り分けることも一考の余地があると考えています。

図表4:フロンティア・ファンドのパフォーマンスに注目

*上記のうち米国籍ETFの売買は米国株式と同様(1口単位)。*公募投信のNL=楽天証券では販売手数料無しで購入できるノーロードファンド、L=販売手数料がかかるロードファンド *年初来騰落率=ETFは取引価格、公募投信は基準価額の年初来騰落率を示す(2019/9/4) *信託報酬は、運用経費率(受益者が負担する運用費用)を年率換算した値 。
出所:Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2018年9月1日~2019年9月4日)

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