フロンティア市場は投資家の「ブルーオーシャン」と呼ばれる
上述した割安感で、米国株が戻り歩調を辿る(市場がリスク選好ムードに転換する)なら、世界市場で見直しが進みそうな市場(分野)として「フロンティア市場」も有力だと考えています。フロンティア市場とは、経済発展が初期段階にある発展途上国を総称し、一般的には新興国(例:MSCI新興国株価指数など)にまだ含まれない国々が多く含まれます。
具体的には、図表2で一覧するようなアフリカ、アジア、中東、東欧、中南米などの発展途上国で、「政情面などのリスクは拭えないものの、長期的な視野で高い経済成長が見込まれる国々(市場)」と言えそうです。例えば、8月28-30日に横浜で開催されたTICAD(第7回アフリカ開発会議)には42名の首脳級を含むアフリカ53カ国が参加しました。
アフリカ諸国には、政治がいまだ安定せず、インフラ(社会基盤)整備が遅れ、経済成長面の飛躍が待たれる国々が含まれています。ビジネスや投資の世界では「ブルーオーシャン」(過当競争に陥っていない未開拓成長市場)とも呼ばれています。
図表2:フロンティア市場には成長初期段階の国々が多い
こうしたフロンティア市場の成長を牽引するエンジンとされているのが「人口動態」の長期的な優勢です。国連の調査・予想「World Population Prospects 2019」によると、フロンティア諸国の生産年齢総人口(15~64才)は、先進国の生産年齢総人口を2020年代に上回り、2100年まで増勢を続けると見込まれています。
少子高齢化が進む日本を含む先進国を横目に、所得や消費の拡大だけでなく、納税の担い手が増加していくことが予想されています。フロンティア諸国の平均所得は総じて低水準で、「生産年齢人口×平均所得増加」は経済成長のエンジンとされる「中間層の拡大」に繋がるとも考えられています。