日本航空(JAL)の投資魅力

 JALは、3月決算企業です。中間決算期末(9月末)と、本決算期末(来年3月末)に、配当金と株主優待品(航空割引券)を得る権利が確定します。予想配当利回り(会社予想ベース)は、9月3日時点で、3.3%です。ただし、株主優待で得られる航空割引券は、有効期限が1年と限られています。自分で使うのが理想ですが、使わない場合は、ネットなどで売却することもできます。有効期限の残りが短くなり過ぎる(1カ月以内)と買い手がいなくなりますが、そうでなければ、ネットに出店しているチケットショップなどで簡単に売却できます。

 JALは、観光ブームの恩恵を受け、業績堅調です。訪日外国人観光客の増加に加え、日本人の海外旅行も増えつつあります。今年5月のゴールデンウイークでは10連休の恩恵で、例年を大幅に上回る旅客を確保できた模様です。

 同社の収益力への貢献が大きいのは、羽田発着便です。世界の航空業界を見渡すと、既存の大手航空会社は、LCC(低運賃の航空会社)との競争激化で、軒並み業績が悪化しています。日本の航空会社の業績が好調なのは、海外に比べると、まだ国内ではLCCとの競合が少ないからと言えます。

 特に、羽田空港では、深夜しかLCCが発着しないので、羽田空港が航空会社のドル箱となっています。将来、羽田空港にLCCが大量に入ってくるようになる場合は、投資判断を変える必要が出ます。羽田空港の発着枠は簡単に増やせないことと、現時点での日本の航空行政を見る限り、そのリスクは低いと考えています。

 日本の航空大手2社は、ANA HD(9202)と、JALです。業績を比較すると、ANAが連続して最高益を更新しているのに対し、JALは利益が伸び悩んできました。その差は、羽田発着分の新規割り当て数の差で説明できます。ANAは、JALよりも後から国際便に進出したため、これまで優先的に羽田発着便の配分を受けられました。それが、ANAの最高益更新に貢献していました。

 ただし、ANAへの羽田便の優先配分は、前期までで終了しました。8月19日の日経電子版報道によると、2020年3月に実施される羽田空港の国際線発着枠の増枠分では、国土交通省がANAへ13.5枠(便)、JALに11.5枠割り当てる方針で最終調整に入りました。来期(2021年3月期)は、羽田発着便がANAだけでなく日本航空の業績拡大にも寄与する見込みです。

 ANAも、JALと同様、株主優待(航空割引券)で人気です。配当利回り(会社予想ベース)は、9月3日時点で2.1%と悪くない水準です。

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