「株主優待」で人気の銘柄から、予想配当利回りの高いものを選ぶ

 日本には、「株主優待」という世界でも珍しい制度があります。上場企業が、株主に感謝して贈り物をする制度です。株主への利益還元は、原則、配当金の支払いによって行うものですが、それとは別に、優待を実施している企業があります。個人投資家にとって魅力的な制度なので、積極的に活用したら良いと思います。

 ただ一部の「優待好き」投資家に、優待品の魅力ばかり見て、配当利回りを見ていないことがあるのには、首をかしげます。というのは、人気の優待銘柄には、配当利回りの低い銘柄が多いからです。

 配当利回りを見ず、ひたすら優待品だけ見て投資するのは、必ずしも、合理的な投資行動とはいえません。優待品をたくさん送ってくるのは嬉しいですが、それよりも、たくさん配当金をもらって、それで自由に好きなものを買った方がいいとも言えます。

 理想的には、「株主優待と配当利回りが両方とも魅力的な銘柄」を選んで投資したら良いですが、配当利回りの高い会社は、「株主への利益還元は、配当金でやるべき」という考えを持っていて、株主優待を行わない企業が多いです。

 ただし、一生懸命に探すと、優待も配当利回りも魅力という銘柄も見つけられます。今日は、楽天証券の「株主優待検索」で、優待人気上位20社に入っている銘柄の中から、予想配当利回りが3%以上の銘柄を選びました。ただ、アナリストとしては、それだけで選ぶこともできません。中長期の収益力や財務内容が良好なものを選ばなければなりません。そこで、直近決算での営業利益率が10%以上のものに絞りました。以下の4銘柄は、その条件を満たしています。

優待人気上位20社のうち、予想配当利回り3%以上、営業利益率10%以上の4社

コード 銘柄名 決算期 配当利回り 営業利益率 優待内容
2914 JT 12月 7.0% 25.5% 優待内容
8591 オリックス 3月 5.0% 13.5% 優待内容
9433 KDDI 3月 3.9% 20.0% 優待内容
9201 日本航空 3月 3.3% 11.8% 優待内容
出所:配当利回りは、1株当たり年間配当金(会社予想)を9月3日の株価で割って算出。年間配当金の予想を公表していないオリックスは、日経QUICKコンセンサス予想から計算