2024年7-9月期は約8%増益、クラウド・DX事業の利益率拡大が鮮明に
現地コード | 銘柄名 |
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00728 |
中国電信 (チャイナ・テレコム) |
株価 | 情報種類 |
4.70HKD |
株価 企業情報 チャート |
中国3大通信キャリアの1社、チャイナ・テレコムの2024年7-9月期の純利益は前年同期比7.8%増と、BOCIの予想をやや下回った。サービス収入が2.5%の伸びにとどまり、予想から下振れたことが響いた形。ただ、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)マージンは34.2%へ1ポイント上昇し、クラウド・産業デジタル化(DX)事業の利益率が従来型の通信サービス事業とほぼ肩を並べたことを示唆した。BOCIは目標株価を据え置き、株価の先行きに対して強気見通しを継続。同社を本土通信セクターのトップピック銘柄としている。
7-9月期の純利益は前年同期比7.8%増の75億元と、BOCIの下期の予想(同8.2%増)を下回るペースだった。EBITDAは6%増。EBITDAマージンは1ポイント上昇し、クラウド・産業デジタル化ビジネスの成長加速をうかがわせた。同事業はすでに、全体のEBITDAマージンの足を引っ張る存在ではなくなっている。
事業別にみると、産業デジタル化サービス事業の売上高は前年同期比2.7%増と、従来の移動通信サービス、有線通信サービス(前年同期比で各2.6%、2.4%の増収)を上回る増収率。それにもかかわらず、全体のEBITDAマージンは前年同期の48.4%から49.3%に上向き、産業デジタル化事業の同マージンが従来型事業と同水準に達したことを示唆した。サービス収入全体に占める産業デジタル化事業の割合はこれで、27%に達している。
減価償却費・無形資産償却費は前年同期比4.7%増の251億元。AIおよび演算能力ネットワーク資産の配置が急速に進み、フル稼働段階に入ったことを示唆した。多様なGPU(グラフィックス・プロセシング・ユニット)サーバーの採用により、この先、AIネットワークにおける設備投資面のコスト管理がより容易となる可能性が高い。
BOCIは同社株価のバリュエーションが引き続き魅力的な水準にあるとみている。現在株価の2025年予想配当利回りは6.6%。EV/EBITDA倍率(EV=企業価値がEBITDAの何倍かを示す指標)はわずか2.4倍と、収益成長率で世界の同業銘柄を上回るにもかかわらず、明らかに低水準にあるとした。本土通信キャリア3社の中で、チャイナ・テレコムをトップピック銘柄とし、次にチャイナ・モバイル(00941)を選好するとしている。
レーティング面での潜在リスク要因として、BOCIは中国政府による通信料金関連の規制が売上高と利益に大きく影響する可能性、米国による制裁が株価パフォーマンスに影響する可能性を挙げている。