※このレポートは、YouTube動画で視聴いただくこともできます。
著者の愛宕 伸康が解説しています。以下のリンクよりご視聴ください。
「与党惨敗で長期金利に上昇圧力~ユニット・レーバー・コストが示す政府の課題~(愛宕伸康)」
与党惨敗で何が起きるのか~長期金利にじわり上昇圧力~
27日に行われた衆院選は、自民・公明両党が215議席にとどまり、仮に政治資金問題で非公認になった当選者を公認したとしても過半数(233議席)には届かない、与党大惨敗という結果になりました。
今後30日以内に成立する見込みの第2次石破内閣は、少数与党として法案ごとに野党と連携せざるを得ず、いずれの党と連携するにしても財政拡大路線へ譲歩する結果、長期金利には上昇圧力が強まっていくと予想されます(図表1)。
<図表1 日米10年金利の推移>
10月の東京都区部消費者物価は日銀の利上げをサポート
ただ、今回の選挙結果が日本銀行の金融政策に及ぼす影響はないとみています。今月末の金融政策決定会合は、日本の政局や米大統領選挙などイベントリスクが大き過ぎ、現状維持となる公算ですが、以下の二つの点から、12月に追加利上げが行われる蓋然(がいぜん)性は高まっているとみています。
一つ目は、植田和男日銀総裁が賃金の物価に対する影響を測る上で注目している10月の「サービス」価格です。
25日に総務省が発表した10月の東京都区部消費者物価指数を見ると、「サービス」が高校授業料無償化の影響を除くベースで前年比1.7%と、9月の1.5%から伸びを拡大させました(図表2)。
<図表2 消費者物価指数の「サービス」>
これを受けて、11月22日に発表される全国消費者物価指数の「サービス」も伸びが拡大する見通しです。日銀としては、「物価安定の目標」2%達成を前提とする「展望レポート」の見通しが実現する「確度が高まった」と言える状況が整うと見込まれます。