投資したいと考える7銘柄のコメント

双日(2768)

 新興国を中心に世界で稼ぐビジネスモデルを確立していると評価しています。2019年3月期の純利益は、前期比24%増の704億円と、2期連続で最高益を更新しました。石炭価格上昇で資源事業の利益が伸びました。資源事業への依存が高いことはリスクですが、近年、自動車や航空機、リテール生活産業などの非資源事業の利益も伸ばしてきたことが評価できます。今期(2020年3月期)の純利益について、会社は2%増の720億円と3期連続の最高益更新を予想しています。

住友化学(4005)

 高付加価値のスペシャリティ・ケミカルで稼ぐビジネスモデルを確立していると評価しています。医薬品、電子材料、農薬、機能材料などスペシャリティ・ケミカルがコア営業利益に占める比率が75%まで上昇しています。業績は今、踊り場となっています。

 前々期(2018年3月期)の営業利益が2,509億円と最高益でしたが、前期(2019年3月期)の営業利益は27%減の1,829億円でした。今期(2020年3月期)の営業利益について、会社は4%増の1,900億円を予想しています。まだ、利益回復は鈍いと言えます。ただし、来期(2021年3月期)には、有機EL部材や電池材料の拡販などで、さらに利益回復が進むと予想しています。

日本トムソン(6480)

 半導体製造装置、工作機械、建設機械、産業用ロボットなどの要素部品として不可欠な直動案内機器、リニア軸受で高い競争力を有します。前期(2019年3月期)は、半導体製造装置、工作機械向けの直動案内機器が全世界で好調で、営業利益は前期比84%増の48億円となりました。ところが、今期(2020年3月期)は、業績が急速に悪化する見込みです。米中貿易摩擦などの影響を受けて世界的に設備投資を抑える動きが広がるため、会社は今期営業利益は35%減の32億円になると予想しています。

 ただし、私は業績悪化は一時的で、米中貿易戦争がエスカレートしなければ、来期(2021年3月期)以降に、業績は回復局面に入ると予想しています。同社株価は既に業績悪化を織り込んで、昨年の高値(1,057円)対比で半値以下の437円まで下がっています。ここからは、来年以降の回復を見込んで、投資して良いと判断しています。

三菱UFJ FG(8306)および、みずほFG(8411)

 三菱UFJはPBR 0.4倍、みずほはPBR 0.45倍まで売り込まれています。日本が金融危機にあった1998~2002年の大手銀行株よりも低いバリュエーションとなっていますが、私は売られ過ぎと判断しています。

 両社とも、国内商業銀行業務の収益低下が懸念されますが、海外展開、ユニバーサルバンク経営(信託、証券、リースなどへの多角化)で安定的に高収益を稼いでいく力があると判断しています。海外展開で先行している三菱UFJの方がみずほより投資魅力が高いと考えています。より詳しい説明は、このレポート末尾にある「もっと読む!著者おすすめのバックナンバー」で紹介しているレポートを参照してください。

セブン銀行(8410)

 収益の大半を、提携金融機関からのATM利用手数料で稼いでいます。2018年3月期までは、セブンイレブンの出店拡大に伴う設置ATMの増加によって、安定的に最高益を更新してきました。ところが、国内でのコンビニ出店が飽和に近づき、ATM利用手数料の成長余地は縮小。

 代わって海外事業や決済口座事業の拡大によって、収益拡大をはかっています。米国では、セブンイレブン全店舗へのATM設置を完了。ところが、前期(2019年3月期)は、米国とインドネシア子会社の収益が想定以下で固定資産の減損が発生したため、純利益は48%減の132億円と落ち込みました。

 今期(2020年3月期)の純利益は、会社では前期比102%増の267億円と再び最高益更新を見込んでいます。米国でのATM利用拡大によって米国事業の黒字化が視野に入るなど、明るい兆しが出ています。米国で、セブンイレブンはさらに店舗拡大が期待され、セブン銀行も米国事業が黒字化すれば、セブンイレブンとともに利益を拡大していく余地が高まります。

スカパーJSAT HD(9412)

 有料多チャンネル放送「スカパー」と、衛星通信事業を行うJSATが統合してできた会社。スカパーは、競合激化で加入者が減少し、収益は低迷が続いています。一方、北米上空からインド洋上空まで計17機の人工衛星をも所有する衛星事業が安定収益源となっています。前期(2019年3月期)の営業利益156億円のうち、131億円を宇宙事業で稼いでいます。
  スカパーはこれからも収益低迷が続くと見ています。ただし、衛星事業の収益に依存した好配当利回り株として投資していくのは、問題ないと考えています。

 

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