為替の歴史は政治の歴史!?いよいよ日米通商交渉が始まる

 為替レートは金利で決まるが、為替の歴史は政治の歴史でもある。米国の通貨政策というのはご都合主義という面も多いが、それでも通貨の長期トレンドを決める最大の材料は、『米国の通貨政策の変更』である。通貨の歴史をみると、「基軸通貨国である米国の通貨政策で動いている」というのが相場の世界の常識である。

ドル/円(月足)為替の歴史は政治の歴史…米国のご都合主義で動いている!

出所:石原順

 為替相場の政治的な変動要因として注意しなければいけないのが、『日米通商交渉』である。保護主義とドル高是正を唱えるトランプ政権のもとで、『日米通商交渉』がそろそろスタートしそうな気配となっている。急激な株高に紛れて、マーケットはこの材料をまったく織り込んでいない。円高リスクには注意が必要だろう。

【茂木敏充経済再生相とライトハイザーUSTR(米通商代表部)代表による日米通商交渉の初会合は、15~16日にも米国で開催される方向だ。政府・与党関係者が2日明らかにした。米国側は対日貿易赤字の削減を重視しており、日本からの自動車輸出に高率関税を課す可能性があり、交渉の行方は、日本経済の動向にも大きな影響を与えかねない。

日米通商交渉は、昨年9月の日米首脳会談で開催が決まり、早ければ年明けのスタートが見込まれていたが、米中交渉や米政府機関閉鎖などの影響によりスタートが遅れていた。

5月半ばは、トランプ米大統領が日本や欧州などからの自動車輸入に対し、安全保障を理由に追加関税を課すかどうか判断する期限となっている。

これに先立ち4月下旬に安倍晋三首相が訪米し、日米首脳会談を行うことが決まった。首脳会談開催を控え、通商交渉を担当する両国のトップが協議を開始し、主要な交渉テーマや交渉期間など、今後の同交渉の枠組みが話し合われるもようだ。

茂木再生相は、2日の閣議後会見で「諸般の事情が許せば、今月中にも米国で(日米通商交渉を)行う方向で調整している」と述べた。】(4月2日ロイター 『日米通商交渉、茂木再生相が15━16日訪米で調整=関係筋』)

ドル/円(週足)と波動カウント

出所:石原順