なぜ今、EVの人気が急に高まっているのか?

 これには、4つの理由があります。

(1)電池の性能が大幅に向上

 5年前はEVは航続距離(フル充電で走ることができる距離)が100~200キロ程度で、社会インフラ(充電ステーション)も整っていないことから、本格普及は難しいと考えられていました。

 ところが、この5年で自動車用電池の性能(蓄電量・劣化せずに充放電を繰り返す回数)が大幅に向上しました。最先端のEVでは、航続距離が300~500キロまで延び、ガソリン車と遜色(そんしょく)はなくなってきました。

次世代エコカーの性能評価

出所:楽天証券が作成

(2)大気汚染が深刻な新興国が対策に本腰

 中国、インドなど大気汚染が深刻な新興国で、EVを促進する動きが広がっています。中国は国策としてEV化を加速。ガソリン車をEVに入れ替える過程で、EVで世界トップを目指す野心も見え隠れしています。

(3)自動運転の開発熱が高まっていることも、EV優位に働いている

 自動運転が主流になると、自動車はセンサーやモーターなどの装着率が上がり、電子機器に近づきます。ガソリン車でも自動運転は可能ですが、EVの方がより親和性が高いといえます。

(4)米国ではEV独特のパワフルな加速が人気に

 米国でEVが売れるのはエコカーとして人気があるからではありません。EV独特のパワフルな加速が人気です。ガソリン車は走り出すときは低速ギアを使い、スピードが上がるにつれて高速ギアに切り替えます。ところが、EVはモーターを使い、低速時でも最大トルクが出るのでギアチェンジが不要です。走り出しと追い越しの加速でガソリン車を凌駕(りょうが)します。

 

2019年の自動車関連株の投資方針

 いよいよトヨタもコネクティッド・カー(ネットとつながり、さまざまなサービスを提供する車)、自動運転、EVの開発に本腰を入れています。

 トヨタには少し投資ポジションを持って良いと思います。トヨタ、または本田、日産自動車のどれかに、少しだけ投資してみたいと思います。ただし、今、自動車株に積極的に投資しにくい環境であるのは事実です。

 一方、自動車の電動化、自動運転は、一段と進みます。2019年は、自動車株より、電動化でメリットを受ける株に投資メリットがあると考えます。

 具体的には、自動車用の電子部品が売上高の約2割に達し安定成長が続く村田製作所(6981)、自動車用モ-ターで成長が続く日本電産(6594)、EV用電池で成長が期待されるパナソニック(6752)、自動車用半導体で世界第3位のルネサスエレクトロニクス(6723)などに注目しています。

 自動車タイヤで世界トップ、米国で高いブランド力を有するブリヂストン(5108)も、投資魅力は高いと考えます。自動車株と比べると、貿易戦争やEV化のダメージを受けにくいところが評価できます。

自動車関連株の株価バリュエーション:2019年2月6日時点

コード 銘柄名 株価 配当利回り PER PBR
5108 ブリヂストン 4,217円 3.8% 10倍 1.31倍
6752 パナソニック 1,064円 2.8% 10倍 1.37倍
6723 ルネサス エレクトロニクス 631円 0.0% 18倍 1.88倍
6981 村田製作所 17,400円 1.6% 18倍 2.36倍
6594 日本電産 13,205円 0.8% 35倍 3.94倍
注:配当利回り、PERは今期会社予想から計算。今期とはブリヂストン・ルネサスは2019年12月期、他は2019年3月期

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