読者から、「バフェットはグロースでしょ」とコメントをいただきました。これは、以前書いたレポート「もしバフェ銘柄(もしバフェットが日本株のファンドマネージャーなら買うだろう銘柄)」で、私が大型バリュー(割安)株を挙げたことに対するコメントと思います。

 ウォーレン・バフェット氏は、無名だった若年期にはハゲタカ・ファンドばりのディープ・バリュー(激安)株投資で荒稼ぎしていたこともあります。運用手法の根底に、バリュー重視があります。今日は、そこを重点的に解説します。

 なお、私の「もしバフェ」レポートをお読みいただきたい方は、本レポート末尾の「著者おすすめのバックナンバー」からご覧ください。

 

年齢とともに変化してきた投資手法:バリュー(割安)重視からグロース(成長)重視へ

 米国株投資で高い実績をあげたバフェット氏は、「オマハの賢人」として、世界中で知られています。彼の言葉を直接聞こうと、米国中西部のオマハで行われる運用報告会には、世界中から何万人もの投資家が集まります。バフェット氏は、この運用報告会で、次々と出てくる質問に1つ1つ丁寧に答え、その発言は、世界中で報道されます。


 バフェット氏は日本でも有名で、彼の運用手法について書かれた「バフェット本」が書店にたくさん並んでいます。ただし、バフェット氏自身は、自ら投資教育の本を書いたことはありません。

 彼が書き続けているのは、自ら運用している投資会社(バークシャー・ハサウェイ)の株主(投資家)に当てた手紙だけです。それを参考に、バフェット氏の投資手法を研究した本がたくさん出版されているということです。

「バフェット氏の運用手法」と一言でいっても、若年期と壮年期で異なります。若い頃はバリュー重視、年齢とともにグロースを重視するようになりました。ただ、根底には、常にバリューを考えながら投資銘柄を選ぶ慎重さがあります。運用で「勝つ」ことを考えつつも、常に「大負け」しないようにリスクをコントロールしてきたからです。それが、グロースを重視しつつ、バリューも見る運用手法につながっていったと思います。

 

アップルが大好きなバフェットは、アマゾンに投資することができなかった

 バフェット氏は「自分が理解できないものには投資しない」考えです。ハイテク株やIT株に積極的には投資せず、コカコーラやアメリカンエクスプレスのような、事業が分かりやすい安定成長株を重視して投資してきました。

 したがって、米国株の上昇を牽引してきたGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)などのIT株では、アップル以外には積極的に投資してきませんでした。アマゾンは高成長期待から、いつでもPER(株価収益率)などの株価バリュエーションで高く評価されていたので、バフェット氏の投資意欲をかきたてませんでした。「なぜ、アマゾンを買わなかったのか」という投資家の質問に、彼は「自分は間違っていた」と素直に認めています。

 そのバフェット氏が大好きなのが、携帯電話などIT機器大手のアップルです。安定成長が続いている割に、PERなどの株価バリュエーションで割安に評価されていたからです。

 アップルは、これまでの成長を牽引してきたハード(iPhone)の成長余地が小さくなってきたことから、最近はPERで10倍台の低い評価に甘んじています。ただ、バフェット氏はアップルがハードではなく、音楽配信や決済などのサービス事業で成長し始めていることに注目しています。

 バフェット氏がアップル好きなのは、「高成長は見込めなくても、安定成長を期待するPERの低い株だから」と、考えられます。つまり、成長を見ながらバリューも見る手法にぴったり合っているわけです。