「平成」とは名前負け。多難だった平成時代

 あと4カ月もすれば元号が変わります。故・小渕官房長官(当時)が「平成」と書かれた台紙を掲げた1989年1月7日から2019年4月30日までの1万1,071日間を経て、平成時代が終わろうとしています。

「平成」は、古い中国の書物に登場する「内平外成」「地平天成」という、「国の内と外、そして天と地、それらの平和が達成される」ことを意味する言葉だと言われています。つまり、平成はどの世界にも平和が達成されるように、と願いが込められた元号だと言えます。

 昭和時代が終わる直前の数年間、イラン・イラク戦争が終結に向かい、そして国内外で株高・不動産高などが顕著に見られ、人々の心に比較的緩んだムードが漂っていました。そんな中、1989年から突入した「平成」。その30年間にどのような事が起きたのでしょうか?

平成とは、テロ・紛争・ショックと名がつく複数の危機の連続          

出来事      
平成2(1990)年~ 日本の株価急落…バブル崩壊の象徴
平成13(2001)年 米同時多発テロ…テロとの戦いの始まり
平成20(2008)年 リーマンショック…未曾有の金融危機
平成22(2010)年~ アラブの春…北アフリカ・中東地域の民主化運動の波
平成25(2013)年 金融危機バーナンキ・ショック…米国の金融緩和を縮小するとの、FRB(米連邦準備制度理事会)議長の発言をきっかけとして勃発
平成26(2014)年後半~ 逆オイルショック…OPEC(石油輸出国機構)が事実上、原油価格の下落を容認して勃発
平成30(2018)年~ 米中貿易戦争…知的財産の保護を発端とし、さまざまな貿易品目に関税を上乗せし報復合戦となった

 上述した項目は、各種市場を大きく揺るがした(揺るがしている)出来事です。もちろん他にも、市場が好意的に受け止めた材料はたくさんありましたが、それでもこれらの歴史に名を残した数々の出来事を見れば、この30年間、元号に込められた願いが叶ったとは考えにくいと筆者は思います。

 以下より、この30年間の具体的な出来事と、原油と金の値動きを振り返ってみます。