中東だけでは原油変動は予測不可能に

原油の値動きと関連する主な出来事 単位:ドル/バレル

出所:CME(シカゴ・カーマンタイル取引所)のデータより筆者作成

 この30年間の原油と金(ゴールド)の値動きを、関連する出来事とともに見てみると、関連する要因が複雑化したこと分かります。

 例えば原油であれば、かつては「中東での紛争」や「OPECの価格統制」が主な変動要因と考えられていましたが、この30年間で、「新興国の台頭」や「投機筋の流出入」「産油国としての米国の台頭」という変動要因が目立つようになりました。

 平成以前は、ぼんやりと「中東で何か起きれば原油価格が上がる」という感覚で原油相場を考えることができました。しかし、平成に入ってからは、消費動向に大きな注目が集まるようになったり、世界的な金融緩和が行われた影響で投機筋が原油市場で存在感を飛躍的に高めたり、シェール革命によって、米国が世界No.1のエネルギー生産国となり、OPECの存在感が低下したりしました。

「ぼんやりと中東を見ていただけでは原油相場の動向を考えることができなくなった」という変化が、平成の30年間で起きたと言えます。