連邦準備銀行の総資産 4兆1,000億ドルの総資産の含み損は665億ドル

出所:セントルイス連銀

 

米国の連邦債務(対GDP[国内総生産]比)

 財政が悪化するなか、トランプ米大統領は景気のピークで恐慌時のような経済政策を行っている。

出所:セントルイス連銀

 

 こうしたなか、FRB(米連邦準備制度理事会)の評価損をトランプ大統領が攻撃するのではないかという観測が浮上している。

【FRBが抱える4兆1,000億ドル(約465兆円)規模の債券ポートフォリオで、未実現の損失が積み上がっている。独立した中央銀行にとって政治的に穏やかではない空気が漂う中、その財政の健全性が問われるリスクがある。最新の四半期報告によれば、FRB保有証券の含み損は9月30日の時価基準で665億ドルだった。純資産の391億ドルを大きく上回る事実上の債務超過であり、普通の企業であれば財務の脆弱(ぜいじゃく)性として受け止められるのは間違いない。当然ながら、FRBは普通の銀行とは異なり、保有資産を時価会計で処理しない。従って当局者らは理論上の損失が持つ意味を重視せず、「特異な非営利機関」として金融政策を運営、もしくは財務省に利益を納付する能力に影響はないと主張する。実際にFRBは今年1~9月、516億ドル以上を財務省に納付した。それでもトランプ大統領が、中国という貿易戦争の敵よりFRBの方が大きな問題だと批判する現状において、FRBの財政悪化という認識が広がるのであれば、議会や国民に対する立場を悪くするリスクがある。FRBはバランスシートの将来を議論し始めたばかりであり、含み損は量的緩和やそれを支える枠組みを批判する向きに、攻撃材料を与えることにもなり得る。表面上とは言っても赤字になっていることは、将来に景気が悪化した際に当局が量的緩和を再開するのを、政治的に一層困難にする恐れがある】

 FRBが資産売却をおこなっているなかで、今年の株式相場はタントラム(かんしゃく)を起こし始めた。米当局も借金の多い米企業も過去の借金に押しつぶされる時期がせまっているのかもしれない。そのため、FRBは来年にも資産売却をやめるという観測も浮上している。

 問題は、反ウォール街・反軍産複合体のトランプ大統領が、あえて金融危機を放置する可能性(株安はFRBと民主党のせいにする)があることだ。ウォール街は圧倒的に民主党支持者が多い。運用者はそれをとても不安に思っている。

 

為替市場の逆張り取引

 筆者はトレンドの発生しない為替市場でずっと逆張り取引を続けているが、現在のドル/円やユーロ/円相場は1カ月の市場参加者のコストである21日移動平均線付近にあり、簡単に言うと相場の真ん中に位置している。相場の真ん中で逆張りをしても意味がない。従って今は次のシグナル待ちであるが、ボリンジャーバンドが収縮しており、逆張りに適したコンディションでないことを留意しておく必要があるだろう。

ドル/円(日足)ストキャスティクスの逆張りシグナル

出所:楽天MT4

ユーロ/円(日足)ストキャスティクスの逆張りシグナル

出所:楽天MT4

ポンド/円(日足)ストキャスティクスの逆張りシグナル

出所:楽天MT4