アルファベットの収益構成比

注:2018年1~9月期
出所:会社資料より楽天証券作成

 

 米国の調査会社eMarketerによると、2019年のネット広告収入は前年比17%増の3,273億ドルとなる見通しです。その中でグーグルの広告収入は初の1,000億ドル超えが期待されています。

世界のネット広告収入見通し(2019年)

単位:億ドル
出所:eMarketerより楽天証券作成

 

b. デジタルサービス課税案

 デジタルサービス課税案は今後発生しうる悪材料として注意が必要です。デジタルサービス税導入案は、国境を超えて活動するIT企業が税逃れをしているとの批判が高まる中で生まれました。EUでの議論が活発に行われている状況ですが、英国は既に大手IT企業に対する独自の「デジタルサービス税」の導入方針を発表しています。

【英国における「デジタルサービス課税」案の内容】

  • 2020年4月からの導入を目指す
  • IT企業が英国のユーザーから得た収入に対して2%の税率を課す
  • 世界の売上高が年間5億ポンド以上の事業部門を対象とする

【EUにおける「デジタルサービス課税」案の内容】

  • EUの法制化には全会一致が必要であるため法制化は不透明
  • ドイツ、フランスが合意している一方、スウェーデンなど数カ国が支持する可能性は低い
  • IT企業の欧州における広告収入に3%の税率を課す(当初はデータ販売も対象となっていたもようだが、議論の中で対象が譲歩された)

 デジタルサービス税が世界的に広がるかは未知数ですが、仮にそうなった場合、アルファベットやフェイスブックの利益率は低下するでしょう。しかし、アルファベットの場合、営業利益段階の利益率が約25%と高水準にあるので(2018年3Q)、収益性に与える影響は相対的に小さいと思います。同社の広告事業の基盤は強く、後述するように今後の成長余地を考慮すると、長期的な視点では業績拡大が期待できます。