アマゾン・ドット・コム

 アマゾン・ドット・コムを取り巻く今後の成長懸念と成長期待のうち主なものは以下の通りです。

成長懸念

a. オンラインストア販売の勢い鈍化
b. 米国の配送料値上げ圧力

成長期待

c. AWSの成長

 

成長懸念

a. オンラインストア販売の勢い鈍化

 足元で懸念されているリスクはアマゾンのオンラインストアの勢い鈍化です。ホリデイシーズンとなる2018年10~12月期の売上高見通しについて、会社側は前年同期比10~20%程度の伸び率を示しました。これまでの増収率と比べると低い見通しです。

アマゾン・ドット・コムの増収率推移(2015年4Q~2018年3Q)

出所:ブルームバーグより楽天証券作成

 会社側はその理由として、サブスクリプションサービスの売上高の計上時期変更、スーパーのホールフーズ買収に伴う増収効果の一巡などを挙げています。足元では、米国のサイバー・マンデーで売れたアイテム数が過去最高だったという話題も浮上しており、懸念が緩和した面はあると思いますが、次の決算で海外の売れ行きが確認できるまで、不透明感は拭い去れないでしょう。

 

b. 米国の郵政公社料金値上げ圧力

 トランプ米大統領が設置したUSPS(米郵政公社)に関する作業部会が、書簡や小包の配送料金を今よりも柔軟に設定すべきとUSPSに対し提言しています。「宅配部門の価格設定には柔軟性があるが、小包の配送料設定には利益が念頭に置かれていない。重要なサービス以外の書簡と小包について、USPSは市場ベースの料金を請求する権限を持つべき」と指摘しており、値上げが実施されると同社の利益をそぐ可能性が高いです。

 同社の売上高のうち61%を占める北米の営業利益率は5.9%と低水準です(2018年7~9月期)。したがって、仮に郵政公社料金の値上げが実施されると、利益に大きな影響を与えることが懸念されます。