不気味なドル安相場
年初からドル安相場が続いている。ドル安相場を引っ張っているのはユーロ/ドルの上昇である。米国の長期金利がじわじわ上昇しているなかでのドル安相場に違和感を覚える人も多いだろう。しかし、現在のユーロ/ドル相場は日足と週足の両方が買いトレンド相場となっており、調整を入れながらも大相場に発展する可能性をはらんでいる。
ユーロ/ドル(日足)
ユーロ/ドル(週足)
米10年国債金利(日足)
さて、このドル安相場であるが、標準偏差ボラティリティトレードモデルでみると、相変わらず4時間足での好循環相場が続いている。日足相場よりも資金効率がよく筆者は現在4時間足でのトレードをメインにしている。
ユーロ/ドル(4時間足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
ポンド/ドル(4時間足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
ドル/カナダドル(4時間足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
ドル/円(4時間足) 標準偏差ボラティリティトレードモデル
昨今のドル/円や日経平均は管理相場的な値動きとなっており、価格の下方硬直性を持っている。そうしたなかで、ドル/円相場は逆張り手法がワークしやすい相場が続いている。下のチャートは過去200日間のドル/円相場の逆張りシステムに売買シグナルを点灯させたものだが、過去200日で+10円67円の実現利益が発生している。
ドル/円(日足)の<逆張りシステム>の売買シグナル(過去200日)
同期間のドル/円の順張りシステムの収益も決して悪くないが、パフォーマンスは逆張りシステムの収益の半分程度である。
ドル/円(日足)の<順張りシステム>の売買シグナル(過去200日)
昨年同様、今年も往来相場的な予想が多いドル/円相場だが、今年も逆張りが有効に機能するかもしれない。ただし、逆張りはストップロスオーダーを入れないと壊滅的な損失を被る可能性のある売買手法である。ストップロスオーダーなしに売買してはいけない。
ドル/円(日足)の<ストップロスオーダー付き短期取引システム>の売買シグナル
最も流動性のないジャンク債市場が大きく崩壊しない限りゴルディロックス相場は延命する
米金利が上がっても、新興国からの資金流出は起きていない。また、ジャンク債も売られていない。マーク・ファーバーが指摘するように、物価も賃金も上がらないが、資産価格だけは青天井相場になっている。トランプラリーで株の時価総額は5兆ドル(550兆円)以上増えたが、米国人で1万ドル(110万円)以上の貯蓄をしている人は25%しかいない。2017年の統計では米国の全世帯のうちの20%は資産ゼロかマイナスである。
NYダウ(週足)
レーガノミクスの時代の米国の負債は1兆ドル(110兆円)だった。それがトランプノミクスの今は20兆ドル(2,200兆円)に達している。負債と金融バブルが今の世界景気を支えているのである。この状況で金利が上がるとどうなるかをそろそろ視野に入れておくべきだろう。
米長期金利が2.6%を超えてきたときに、現状のゴルディロックス(適温)相場に変化が現れると言われているが、バブル相場の炭鉱のカナリアはジャンク債だ。ジャンク債が売られ始めたら要注意である。逆に言えば、ジャンク債市場が大きく崩壊しない限りは、ゴルディロックス相場は延命する。