2023年見通し1、国内は日銀動向を要チェック

 こうした年初からのもみ合いシナリオは、足元の相場環境からも想定できます。その要因として、「国内(日本)」、「米国」、「中国」の三つが挙げられます。

 まず、国内要因については、先日開催された12月日本銀行金融政策決定会合における、いわゆる「日銀サプライズ」の余波が影響しそうです。

 10年国債利回りの許容変動幅の拡大という政策の修正自体は想定の範囲内だったのですが、これがサプライズとなってしまったのは、決定が突然だったこと、市場との対話が不十分だったことが大きいといえます。

 今後は「日銀はいつ何をしてくるか分からない」というイメージが市場に不安定さをもたらす可能性があることや、債券市場では、次の金融緩和後退を見越した海外勢が折に触れて国債売りを仕掛けてくるなどの動きが警戒されること、株式市場でも自動車株が年初来安値を更新する一方で、年初来高値を更新する銀行株が出てくるなど、金利と為替をキーワードにして銘柄動向にかなりの温度差があることなど、日本株全体として方向感が出にくい状況となっています。

 さらに、2023年4月8日には黒田東彦日銀総裁が任期を迎えることもあり、春先までは今後の人事や政策方針などへの思惑が働きやすくなることも考えられます。