売買代金ランキング(5銘柄)

1 エヌピーシー(6255・東証マザーズ)

 12月IPOラッシュの手前、11~12月初旬にかけて賑わっていたテーマ株。そのなかで、“再生エネルギー関連”の中核となったのが同社でした。米国の次期大統領バイデン氏が環境対策の強化を打ち出していたほか、日本でも菅首相が脱炭素社会に向けた方針を明言。前政権からの反動も踏まえて、「環境関連株にようやく追い風が吹く」との期待が乗ったようです。

 同社は、太陽電池モジュール製造装置を手掛けており、米太陽電池メーカー大手のファーストソーラーと取引関係があります。とはいえ、それ以上に(1)時価総額が小さい、(2)流動性が低い、(3)低位株、といった短期的な人気テーマ株化する要素を備えていたことが大きかっただけにも思いますが…。4日に付けた高値1,029円は、2011年9月以来、9年ぶりの高水準。ただ、12月IPOラッシュの時期には、投機勢の目線も12月IPOへ…長期のテーマのように騒がれていたのが何だったのか?レベルで人気は離散しました。

2 JTOWER(4485・東証マザーズ)

 10~12月で怒涛(どとう)の3カ月連続高を演じ、時価総額は2,000億円を突破。12月末時点(2,208億円)ではマザーズの時価総額8位まで浮上してきました。前年の12月IPO(初値2,620円)でしたが、1年で初値の約4倍に! 日本唯一の通信インフラシェアリング会社で、それが故に比較対象となる類似会社はなし。オンリーワン銘柄の強みが発揮されたわけですが…恐るべしJTOWER、な1年になりました。

 25日に総務省が、ICTインフラ地域展開マスタープラン3.0を発表。その資料の中で、次世代通信規格(5G)の基地局インフラ整備計画の前倒しが示されたことも好感されたようです。

3 不二精機(6400・ジャスダック)

 12月後半のIPOラッシュが始まる前まで、テーマ株物色のリーディングストックのような存在感を維持しました。注射器向けの金型を手掛けていることから、カテゴリーは“ワクチン関連”。欧米でワクチンの投与も始まったこともあって、ポジティブ視されやすいニュースフローが多めだったことも後押しに。

 実態無視で買い進められたこともあって、新規の空売りも多かったようです。そうした旺盛な売り需要が、空売りに関連するコスト“逆日歩”の上昇にもつながりました。結果、12月序盤は踏み上げ相場の様相に発展した側面もあります。

4 出前館(2484・ジャスダック)

 月前半は上昇基調、きっかけはコロナ感染の再拡大でした。11月下旬、コロナ拡大を受け、飲食店の時短営業の早急な検討などを要請。外出自粛ムードで、再び巣ごもり需要が増えるのでは? という連想が買い手掛かりになったようです。また、12月は節税目的の損出し売りが促される時期です。同社の場合、新興株では非常に珍しい売り長銘柄。信用倍率は0.2倍前後(売り残が買い残の5倍程度)でしたので、高値圏で売り方が“損出しの買戻し”をすることが好需給化につながったとも想像されます。

 ただ、24日に発表した今第1四半期(9-11月期)決算が失望材料に。テレビCMなど広告宣伝の先行投資で営業赤字は31億円でした。それ以上に、第1四半期の売上高が前年同期比2.3倍の42億円に急拡大したとはいえ、通期予想の280億円に対する進ちょく率は15%にとどまったことを嫌気したようです。

5 ワークマン(7564・ジャスダック)

 月初は、1日に発表した11月の月次速報が強い売り材料に。既存店売上高が前年同月比0.8%増と、前月の同34.5%増に比べて急激に鈍化。“ワークマン女子”効果が再び期待されていたなかだけに、失望感が強まったようです。また、直前で一部外資系証券が投資判断「買い」(目標株価1万1,200円)で調査を開始していたこともあって、同レポートを理由に買った短期勢のロスカットも誘発した面もありそう。

 一世を風靡(ふうび)した2019年に株価2.8倍となった同社株も、大ヒットの翌年2020年は結局年間▲13.6%で終了。急激な伸び方を示した業績も、その翌年となるとモメンタムは鈍化してしまいます。今後出店ペースを加速させるといった報道も出ていますが、“ワークマン女子”重視の経営方針が吉と出るか? 2021年も目が離せない存在です。