株価指標で見て「割安」な大手総合商社

 私は、総合商社株を、投資対象として高く評価しています。その魅力の1つは、株価が割安で、予想配当利回りが高いことです。

大手総合商社の株価バリュエーション

コード 銘柄名 株価:円 PER:倍 PBR:倍 配当利回り
8058 三菱商事 2,289.5 12.5 0.64 5.9%
8031 三井物産 1,594.0 15.1 0.70 5.0%
8001 伊藤忠商事 2,336.0 8.7 1.16 3.8%
8002 丸紅 493.6 8.9 0.56 3.0%
8053 住友商事 1,249.5 9.8 0.61 5.6%
出所:PERは、7月6日の株価を、今期(2021年3月期)の1株当たり利益(会社予想)で割って算出。今期利益の会社予想を公表していない三菱商事・住友商事は、1株当たり利益(日経QUICKコンセンサス予想)から計算。配当利回りは、今期の1株当たり配当金(会社予想)を7月6日株価で割って算出、楽天証券経済研究所が作成

 PER(株価収益率)が低く、PBR(株価純資産倍率)も低く、配当利回りは高いことがわかります。

 株価が割安ということは、投資家に人気がないということです。なぜ、大手総合商社が投資家に人気がないのか考えてみましょう。

 大手総合商社の利益に占める資源事業の比率が高いことが、商社株の人気が低い原因の1つと思います。最近、資源価格が全般に軟調に推移していることも、商社株への投資を避ける要因となっています。

 商社が新興国で積極的にビジネス展開していることは、一時投資家から高く評価されましたが、今のように東南アジア・ブラジル・インドなど新興国の景気が低迷している時は、評価されません。

 伊藤忠は、中国最強商社と言われ、中国で幅広くビジネスを行っていることが強みと考えられてきましたが、米中対立が激化しつつある今は、かえって不安材料となっています。「中国関連株」と言われる日本株は、中国景気への先行き不安から、低く評価されるようになりつつあります。