128カ月景気拡大後の景気後退がたったの3カ月で終了するのか!?

 株式市場は国家管理となり、FRBが中央銀行プットで上げてくれるという。労働市場はコロナ禍でなし崩し的に給付バブルとなり、いっそのことMMT(現代貨幣理論)政策をどの国も採用したらどうかという雰囲気になってきた。FRBやMMTが正しいなら、もはや税金も不要になる。国債をひたすら刷り続ければいいのだから。政府が金をくれて、税金がタダになるなら、こんないいことはない。しかし、この世にタダ飯(フリー・ランチ)というのは存在しない。

 QEインフィニティで 量的緩和が再開されたが、量的緩和には「出口」がない。量的緩和を永久に続けられるなら、経済政策で誰も苦労などしない。政府がいくら膨大な予算を組んでも、企業がいくら負債を抱えようと、政府は国債、企業は社債を中央銀行に買ってもらえばいいのである。

 FRBやMMTが正しいなら、いま世界で一番経済が好調な国はジンバブエのはずである。しかし、そんなことにはなっていない。

100兆ジンバブエドルとハイパーインフレの紙幣

写真出所:パンローリング

 6月8日、景気循環を判断するNBER(米国経済調査局)は、2009年6月に始まった景気拡大は2020年2月に終わったと発表した。2009年からの景気拡大は128カ月続き、1854年までの米国の景気循環史上最長であった。米国は景気後退に入ったばかりである。その景気後退がたったの3カ月で終了し、経済がⅤ字回復するなどという見方は異常としか言いようがない。それでも株が上がっているのは、国家管理による市場操作の賜物である。しかし、モノには限度というものがあるだろう。

2009年からの景気拡大は128カ月続き、1854年までの米国の景気循環史上最長であった

出所:ゼロヘッジ