下がっているときこそ「売らない」「買い続ける」~ただし何もせずに自動的に

私もずっと8%の利回りだったというわけではありません。相当の元本割れをしていた時期も実はありました。

積み立てをスタートしてからやってきたのはリーマンショックで、その後数年は元本割れの期間が長く続きました。プラスになった実感を得たのはアベノミクスが本格的に伸び始めたことです。

しかし2つのルールを課して下げ相場の時期を過ごしていました。つまり、

  • 「元本割れしているときに売らない」

  • 「下げ相場でも気にせず新規買い付けは継続する」

というルールです。いずれもiDeCoで最終的な運用成果を高めるためには必須のテクニックです。

まず元本割れした時点での損切りはiDeCoにはまったく向きません。損失を確定させたら、その分以上の収益をあげる再投資のチャンスをうかがわなければなりませんが、これこそ投資の負担を高めますし、初心者には難しいハードルになります。それよりも「5年待って市場が回復し、元本割れが消えるまで待つ」というスタンスで臨むほうが楽になります。

下げ相場であるからと、新規の掛け金で行う投資を抑えてしまうのもiDeCoではオススメしません。下げ相場が続いているとき投資を控えキャッシュ(定期預金)の保有額を増やし、大底に達したときに一気に買い付けすればもっとリターンは高まりますが、そのためにはマーケットを読み、実行する負担が生じます。ちょっと忙しくてタイミングを逃せば、安く買い付けするチャンスを棒に振ることになってしまいます。普通の人には困難です。

むしろ毎月の掛け金で下げ相場でも気にせず購入を続けることは、購入単価を下げることになるので、いったん市場回復に転じると、高利回りの実現に結びつくのです。

この2つのルール、賢く合理的な行動のようにみえますが、何も難しいことはありません。「ほったらかし」をするだけで実行できてしまうのです。楽どころか手抜きのような投資方法で上々の選択肢になるというわけです。

次のリーマンショックこそ利回りをあげるチャンスと考えてみたい

ほったらかしにしつつ、高い利回りを目指すためには1つの条件が必要です。

  • 下落相場がしばらくやってきて、その後回復に転じること

しかし、長い目で見て市場の回復、つまり経済成長があると考えられるなら、「下落相場の期間中、毎月の積み立て投資は継続し、一時的な元本割れも売却しない」ことで簡単にリターンを高められます。

リーマンショック3ないしアベノミクス4くらいまでほったらかして投資をしてみるとiDeCoは大きく成績をあげてくるはずです(そのころは○○ショック、○○ノミクスの名前は別の人になるでしょうが)。

ほったらかす、というのは悪いことのようですが、「市場の回復を待つ」という戦略をしっかり採用している、ということでもあります。

iDeCoで投資デビューを果たす人は、書店の「株式」「投資」コーナーにある書籍を読んでも、あまり参考にならないと思います(iDeCo本はOK)。無理をせず続けられる「ほったらかしで年8%」方法を目指してみてはどうでしょうか。