いかなる相場操縦も長期的には成功しない

相場操縦の達人のようなサプライズ緩和を続けてききた日銀のサプライズ政策も、2回連続の不発に終わっている。過去3年間はアベノミクスというPKO相場が功を奏して日本株も上がったが、円安(金融)政策の限界と米国の円安ドル高牽制で円安を維持することが難しくなっている。だから、何をやっても上値は限られるだろう。明日の日銀会合では、現在0.1%のマイナス金利の深掘り、年80兆円の国債購入量の増額、上場投資信託(ETF)の買い増しという3つの選択肢を組み合わせた案が想定されているが、それらはもはや気休め程度の政策であり、かえって、金融政策の限界が意識されてしまう可能性もあるだろう。

通常、相場は値幅か日柄(時間)のどちらかで調整する。大きく見ると、92年夏に宮沢蔵相が始めた株価PKO政策の継続で日本株は失われた25年(日柄調整)相場になっている。そして、いまだにPKOによって相場を維持しようとしている。PKO相場の答えはジリ貧(日柄調整)である。

日経平均(月足)
PKOによる延命相場の答えはジリ貧、92年夏の宮沢蔵相のPKOからずっと日本株は日柄調整相場を続けている

(出所:石原順)

8月の月初・月末の相場の下落には注意が必要

2016年の株式市場の予測では、米著名投資家のラリー・ウィリアムズの予測がずばぬけて精度が高く、筆者も彼の予測は傾聴に値すると思っている。ラリーは基本的に8月末まで米国株の強気を維持しているが、8月の月初・月末の相場の下落には注意が必要で8月中旬に米国株が反転する可能性があると述べている。先週のレポートにも書いたが、歴史的に株式相場が下がりやすい月というのは「5月」・「9月」・「10月」である。8月の月初・月末の相場の下落には注意が必要であろう。

S&P500(日足)買いトレンド相場だが、8月相場は荒れそう?
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

S&P500(週足)週足で9週RSIの売りシグナルが点灯

(出所:石原順)

日経平均(週足)円安相場と連動、8~9月の相場には要注意?
上段:14日修正平均ADX(赤)
下段:21日ボリンジャーバンド±2シグマ(緑)・±3シグマ(緑)

(出所:石原順)

日経平均先物(日足)200日EMAフィルター付きストキャスティクスの逆張りシグナル
上段:200日EMA(紫)・25日エンベロープ±5%(青)
下段:ストキャスティクス5.3.3

(出所:石原順)

日経平均先物(日足)転換点売買のシグナル
上段:25日エンベロープ±5%(青)・±10%(赤)
下段:3日修正平均ADX

(出所:石原順)